掬う愛情 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ 10

リンクが昨日で4歳になった

誕生日プレゼントとして欲しがっていた車のおもちゃを渡したら、それはもう目を輝かせて喜んでいたのでこちらまで嬉しくなってくる。子供って純粋だなあ

結局先輩はあれからリンクのことを諦めることなく欲しい欲しいといっていたが、最近はその頻度が少なくなっていっている。先輩の娘さんはやはり施設に預けられたままらしいけれど、まぁ先輩の下にいるよりは何十倍もマシだと思われた


「おかあさん!みて!むっしー!」

「ぎゃああぁ!!持ってきちゃ駄目リンク!ぽいしなさい、ポイっ!」


ところで私たちは今、公園に来ていた。

別に何かあるわけではなかったけれど、水もつれて三人でピクニックっていうのも悪くはないかなと思ったのだ。リンクも遊び盛りだし、水も遊び盛りだし、丁度いいんじゃないかなあ

ここは遊具は少ないが山の少し上のほうにある公園なので、一面緑と空でとても自然の多い公園である。噴水もあるし水遊びだって可能だ。タオルも準備できている。まぁこんな寒い日に水遊びだなんてリンクも水もしないだろうが・・・

でも今日は本当に日差しが暖かいので、遊ぶにはもってこいだろう

ぽつぽつと見えるほかの家族も笑顔でお弁当を食べたり遊んだりしている


「ていうか冬なのによく虫なんて捕まえたね・・・・虫さん探ししてたの?」

「うん。あのねーむっしーかわいいんだ」

「可愛いのか・・・・・」


それが、可愛いのか・・・・・

私は名前の知らない虫をリンクの手からつまみとって見てみたが、別に虫マニアでもなんでもない私からしてみれば可愛いの「か」の字もない。言ってしまえばカブトムシとクワガタムシ以外の虫は基本的になんとも思わないし、普通に怖いので、リンクが捕まえた虫はリンクに返して自分で逃がしてこさせた


「水おすわり」

「わふっ」

「お手。おかわり。伏せ」


よしよし言う事を聞くな。今日はやっぱり外に出てるから機嫌がいいのだろうか

持ってきていた犬用のボールを手に水を見れば、水はやることがわかっているのか尻尾を振っている。可愛い


「よーし、じゃあこれとってくるんだよ。いくぞ水!」

「わん!」

「行けぇえ!」


思いっきりボールをぶん投げれば、水はボールに向かって一直線に走っていった。ついでにリンクもつられて走って行った。ちょっ、お、お前はいいから。転んだら大変だから!

そう思ったときに限ってリンクは転ぶ


「ぶっ」

「わん!」

「水ありがとうってああリンク!」


リンクを心配しながらも自分で立ち上がってくれるのを待っていると、リンクは顔をあげて私を見た。目がうるうるしていて今にも泣き叫びそうだった


「あぁもう。大丈夫?怪我はない?膝とおてて見せてごらん」

「う゛ん・・・・」

「あちゃー・・・・・・・・・」


がっつり擦り傷が膝に出来ていて、転んだときに手もかすったのか手のひらにも傷が出来ていた

消毒しなければいけないが生憎と絆創膏や消毒液なんてものは持ってきていない。なので近くにあった水道で傷口を洗ってやって、心配している水を撫でてからもうすぐしたら帰ることにした

もちろんリンクは嫌がったが、元々暖かいとはいえ寒いのに変わりはない。小さい子は特に体調を崩しやすいのだから、ずっとはいられないのである

もう少し暖かくなればいいんだけどねぇ


「今度はばあばとじいじと一緒に来よう?遊園地っていうところに連れて行ってもらおうか」

「遊園地・・・・?」

「遊ぶところだよ」


毎年4、5月は休みの日が多い。うまい具合にお父さんたちと予定があえば、連れて行ってくれるだろう

4歳だから、小さいものなら乗れるでしょ


「さ、帰っておやつでも食べようか。お弁当は家で食べよう?今日は残念だけど、また一緒に来ようね」


そう笑いかければ、リンクは渋々うなずいて私の胸にとびこんできた

prev / next


[ back ]