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「あ!ジェノス君おかえりー」

「やっと戻ってきたか!」


買い出しから帰ってきたら、異様な光景がジェノスをむかえた。


「はい、今戻りました。あの・・・・なにをなさってるんですか?」

「ねぇちょっと!ジェノス聞いてー!君の先生ってばひどいんだよ私のこと害虫としか思ってないよこの人!」

「だってお前がうるさいからだろ。しょうがねぇじゃんこうするしか。・・・つーか誰も害虫なんて言ってないだろ!」


ジェノスが唖然とするのも無理はなかった。何せ、大切な幼馴染が縄でぐるぐる巻きにされて布団の上に転がっていたからだ。鼻血が出ているのかティッシュが鼻に詰め込まれている。

ぽかん、とした様子のジェノスを放って二人が軽く言い合いをしはじめたので、ジェノスはハッとして状況説明を要求した。さきにシルヴィが喋ろうとしていたので咄嗟に手で口をふさぐ。こいつよりも先生のほうが冷静なので、先生に説明してもらおうと思っての行動だった。

何か喋ろうともごもごしているので、焼却するぞと手のひらに熱を込めて顔ごと鷲掴みすれば、ごめんなさい黙りますすみませんと即座に謝罪がもれた。


「こいつよ、お前が買い物に行ってる間大変だったんだぜ?」

「・・・・・・!な、何かシルヴィがご迷惑をおかけしましたか!?」

「ぎゃああぁ!顔!顔つぶれる力入れるな馬鹿たれ!つか黙ってるから放して!」

「あぁ、すまない」

「軽ッ!謝罪の意がまったく感じられない!」


でもこれ以上文句言うとこんどこそ握りつぶされそうだから何も言わない。


「迷惑もなにも、しょうがねぇことばっかなんだけど。こいつ、食器棚に顔面から突っ込むし、なんでかは知らねぇが開けたままの冷蔵庫の扉で頭はぶつけるし!たんこぶまで出来てんぞこいつ」

「それは申し訳ないことを・・・・・・・頭は冷やしたのか、シルヴィ」

「うん。氷いれた袋もらった」

「それでよぉ、少し寝てる間、こいつ寝相悪くて部屋中うろうろしてんだよ。ころころ転がって、しまいにゃ直射日光が当たる場所に頭むけて寝てたんだぜ?そのせいで鼻血まで出ちまってるし・・・・鼻血出てんぞ大丈夫かって起こしたら起こしたで寝ぼけて外行こうとしやがる。目が離せなくて大変だったわ」

「なるほど、だから縛り上げたのですね。さすがは先生!」

「確かにこれじゃあ動けないけど!もっと何かなかったんですか!?ていうかもう目見えてるし、ほどいてくれてもいいじゃないですかあ!」

「お、もう見えんのか?」

「さっき見えるようになりました」


なんだかんだ言って、最終的には縛り上げられてしまったが、鼻血を出したときもたんこぶを作ったときもちゃんと対応してくれたので、サイタマさんは良い人だ。ちょっと面倒ごとが嫌なだけで。私が面倒ごとを多々起こしてしまっただけで。うん・・・・・だって、ねぇ?しょうがないじゃん。サイタマさんも言ってたけど、しょうがないことじゃない?

先生から許可がおりたので、ジェノス君が私の縄をほどいてくれる。腕には少しあとがのこってしまっていた。まぁこれくらいならすぐ消えるだろう。


「あー鼻血も止まってる。ありがとう、ジェノス君」

「おい、脱げ、シルヴィ」

「・・・・・・!?え、突然!?」

「お前、制服の下にTシャツと体操服のズボンを履いてるだろう」

「あ、あぁ・・・・なんだ、びっくりした。全裸になって外で晒しでもしろって言われるのかと思った。ジェノス君の性格を一瞬だけ疑ったわ、ごめんよ」

「わかった。アイロンはかけなくてもいいんだな?」

「だからごめんってばもう〜!ジェノス君がそんなやつだなんて思ってないって!制服お願いします」


よく見たら結構ゴロゴロしていたからか、制服に結構しわがついていた。普段からあんまりしないもんだから、余計にだ。ジェノス君ありがとう。