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ジェノス君に「ロズちゃんとごはん食べに行くけど来る?」と冗談で聞いたら来るとのお返事が返ってきたので、内心ちょっとヒヤッとした。別に彼が彼女のことを無条件に好きになるとか、そういったことが怖いのではない。前回会ったときもなんともないようだったし、彼がロズちゃんのことを心酔するほど好きになったのなら、忠犬よろしく付きまとっているだろうからだ。

私に付きまとうのとは比じゃないくらいくっつきに行きそうだな・・・・・将来彼の恋人になる人間は大変だろうなあ・・・・

とまあ、そういうわけなのだが。なぜヒヤッとしたのかというと、問題はロズちゃんにある。

彼女は男が思い通りにならないとイライラするところがあるのだ。彼女はたぶん私にばれてないと思っているだろうが、バレバレだ。ちょっとでも思ったことと違う言動を男の子がすると、たちまち彼女の表情は強張る。今回はそれが怖い。

ジェノス君はきっと、ロズちゃんの思い通りにはならないだろう。それで空気が悪くなったりでもしたら私は・・・・私は・・・!どうしたらいいんだろ!?

まって、マジで何も考えてなかった。ただ単純に、何も考えずジェノス君をごはんに誘ったけど、誘わないほうがよかったんじゃないのか・・・・・?というかジェノス君がまさかオッケーするとは思わなかったんだよね!まあそれも、よくよく考えれば私が出かけるときは大体ついてくる彼なので、そこにロズちゃんが居ようがいまいが関係ないのかもしれなかったけど。

えぇ〜、うまくいけばいいなあ・・・・

いつも通り彼に運ばれながら、目的地のファミレスに到着する。ロズちゃんはまだ来ていないようだ。予定より私たちが早くついてしまったから、当たり前だった。

そこから何気ない話をいつも通り、二人でしながらロズちゃんを待った。



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「ロズちゃんは何にする?デザートは後でいいかな」

「お前は何にするんだ」

「いや迷ってる。サイコロステーキも食べたいけどエビフライが入ってる、この・・・・ミックスなんたらも食べたくて」

「じゃあ俺がそっちを頼む。お前はエビフライを食べろ」

「マジ?やったね〜」


こうやって私が迷ってると、どちらかを頼んでくれるジェノス君が好きだ。シェアしてくれるから結局私が二種類頼んだようなものだし、ジェノス君は毎回それをしてくれるから、こういうところは優しいよなとしみじみ。

そこで急にハッとする。

ロズちゃんの顔を見れば、彼女は少し戸惑っているようだった。あぁよかった、イライラしてない・・・・なんで戸惑ってるのかしらないけど。

そもそも私はなぜ、ロズちゃんが怒ることに関してビクビクしているのだろうか?今さらだけど彼女が怒っても怖くなんてないのではないか?いやでも友達が怒りそうなときって、大体ビビるよね。できればもめたくないし怒られたくないし。

それからも私は何度もロズちゃんの様子をうかがった。


「ほら、エビフライ」

「あ、ありがと」

「カキフライは?」

「いるいる」

「どうせ食べきれんだろう。そのステーキ、半分寄越せ」

「どうぞー」


ジェノス君とやりとりするたびに、なぜか仲の良さを見せつけているみたいで罪悪感がわきはじめた。ロズちゃんは表面上微笑ましそうにしているが、内心ではたぶんご立腹だろう。ジェノス君がロズちゃんになびかないからなあ

私とロズちゃんが会話することはあれど、ロズちゃんとジェノス君のやりとりは今のところない。だから余計に肩身が狭くなる私。精神的苦痛がすごいな?


「あ、あの・・・あ!ロズちゃん、それ完食できる?大丈夫?」

「うん・・・・・ちょっと難しいかも・・・・」

「それならジェノス君が食べてくれるよ!」

「おい、」

「ほんとう?すみません、ジェノスさん・・・お願いしてもいいですか?」

「お前が食べろシルヴィ」

「は!?」

「!」

「なんで?別にロズちゃんが箸でつついたものじゃないじゃん。あともう私おなかいっぱいだし!」

「なんで俺がお前以外の食べ残しを食べないといけないんだ。お前の友達だろう」

「そうだけど〜」

「吐きそうになったら言え」

「まって、何?袋かなんか持ってるの?」

「?手でキャッチするが」

「んんん??」

「とにかく早く食べろ」

「はい・・・・」


何かしらの接触&ロズちゃんがジェノス君とうまいこと会話できるかなと思ったけど、無理だった。食べ残し食べるのを嫌がるのはわかるが、会話すら成り立ってないとはどういうことだろうか。ジェノス君、あんまりロズちゃんのこと好ましく思ってない・・・・?