×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
昨日はよく眠れなかった。寝よう寝ようと思えば思うほど寝付けなくなり、いつもならトイレ行ったり水飲んだりするだけでも大分寝付きやすくなるというのに、それもなかった。おそらくテントで寝ていたからだろう。ちゃんとした布団で寝ていればこんなことには・・・・

一人ぶつぶつ呟きながらラジオに耳を傾ける。

こんな怪人ばかりが出るご時世だ。世間で今何が起こっているのか、天気はどうなるのか、そういった情報収集は物凄く大切である。5人にひとつ支給されているラジオからは少しの雑音が混じりながらも確かな情報が流れていた。


「なぁ、そういえばお前」

「なに?」

「どことなくオカメヒーローに似てるよな」

「え?どこが」

「なんつーか・・・・背格好?よくわかんねぇ。でもほとんど手足の太さとか一緒じゃね?」

「太さとかいうな。えーでもみんなおんなじくらいじゃない?きっと気のせいだよ」

「そうかあ?」

「そうそう。あ、班長なんだからそろそろグループの点呼とらないとだよ」

「ううーん」


まだ納得がいかなさそうな男子に点呼用の紙を渡す。こんなことを言われるのは何も初めてではないので、適当に違うとだけ言った。

そうするとみんな、しぶしぶでも納得しようとするのだ。

まぁ普段からだらしない私を見ていれば、ヒーローかもだなんていう思考はさっさと消えてしまうのだろう。それはそれで助かる。だらしないと思われているのはちょっとだけ自覚があるし。

皆で朝ごはんを食べたあとだったので、誰も欠けていないことを先生に伝えてから少しの間自由行動となった。まぁあんまり走ったりして動いて吐いちゃったら嫌だしね。せっかくの朝ごはんが!ね!おいしかったー

ロズちゃんは男子に捕まっているだろうからとテントに戻ろうとすれば、さっきの男子がまた話しかけてくる。


「なぁ、今さっき割と大きい怪人が出たってさ」

「へぇー」

「移動中だって。怖いよなぁ〜!こっち来なきゃいいけど・・・・」

「来てたらたぶん、警報がなるでしょ?」

「そうだといいけどな」

「なに、どうしたのさ」

「いや、さっき先生たちが警報機がどうのこうの、スピーカーが三台うんたらかんたら・・・・・とにかく神妙な顔で話してたんだよ。不安にもなんだろ?おまけにほかのグループのとこにいったらラジオで怪人が出たとかいうし」

「考えすぎ!どーせこっちまで来ないっしょ。そんなに不安なら大人数で固まっときゃいいでしょうが。そういえばロズちゃんは?」

「あぁ、さっきどっか、他のやつらと散歩に行ってたぜ?」

「あんた行かないの?」

「はあ?別に行く理由なんかないだろ。お前こそいいのかよ、食後の運動とか!」

「いや別にダイエットなんて必要ないし!」

「ちがうちがう!便通をよくするために〜みたいな?うちの母さんが朝いっつもそれで歩いてる」

「いや・・・・そこらへんに関しては困ってないかな・・・」


いたって健康体です。

嫌な予感がしながらもそういえばこいつロズちゃんに興味ないな、と思ってちらりと顔を見た。フツメンだ。雰囲気は少々イケメンだがそれくらいか。

何かあんのかなと思って「なんか、ロボットみたいだね。えーっと名前なんだっけ?」といったら笑われた。

はぐらかすように、


「つーか隣だぞ俺!お前の隣の席!!」

「山田?」

「それ後ろ!俺は山川だよ」

「同じようなもんじゃん?」

「ちげぇからな?」