×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
今思えば毎日ジェノス君と会っている気がする。サイタマさんは買い物でいなかったりするけれど、でも・・・そうか。サイタマさんとも結構頻繁に会ってるな。

一日でも会わない日なんて、それこそサイボーグと化したジェノス君と再会してからないような・・・・?まあそれがどうとか、嫌だとかそういうわけではないのだけれどもね。いやあここまで顔を合わせることになるとちょっと、びっくりだよね。


「歯ブラシセットを忘れているぞ」

「いや連絡のひとつやふたつ、入れてくれよ」


頼むからよ。心臓に悪いんだよ急に目の前に現れると!特に今ここにいないはずのジェノス君だと特にさあ!

確かに忘れた私も悪いよ!?でも息スッキリのガムがあるし、二泊くらいなんとか乗り越えられるかなって思ってたの!!まさか届けにくるなんて思わないじゃん!?

そして聞いて驚け。今私がいるのはキャンプ場だ。Z市からは結構離れているというか、常人では自転車でも一日かけても来れないくらいの場所なのだ。ここは。学校の行事ごとの一つで、なんでも宿泊訓練がどうのこうの、とりあえず二泊三日はここに滞在する予定なので、ジェノス君に会う予定なんか一秒だってなかったはずなのに


「もうほんとう、どうせお母さんでしょ?ごめんねこんなところまで・・・」

「気にするな、好きでやったことだ。それに歯磨きは大切だからな。最近磨き方にクセがついてちゃんと歯と歯茎の間が磨けていないのも教えなければと思っていた。磨き方はわかるか?」

「ねぇちょっと待って?私でもよくわからない癖をよく見抜いたね!?」

「見ていればわかる。とにかくちゃんと磨かなければ歯周病や歯肉炎に・・・・」

「わかったわかった。とりあえず磨き方は今度病院の先生に教えてもらうから。今から戻るのにまた何時間かかかるでしょ?」

「あぁ」

「今から戻らないと日付超えちゃうだろうから、急いで帰ってね。あ、休憩することがあったらお菓子食べなよ、これおいしいやつ。それから・・・・・なんていうか、怪我しないよにね!」

「心配はいらない。お前こそ何かあったら連絡しろ。すぐにだ」

「はいはい」


歯ブラシありがとうねー

そういって手を振ってジェノス君を見送った。物凄いスピードで山を下りていくのが見えたが、それもすぐにわからなくなった。

ひとしきり手をふったあと、テントに戻る。もうすぐでカレー作りがはじまるだろう。

全員に配られているスケジュール表を見つめながら、ふとジェノス君がなぜ来たのかが気になる。そういえばお母さんに言われたことを否定しなかったということは、母直々にお願いされているのだろう。

まぁだが、さすがにうちの親もこんな約片道五時間もかかる(ジェノス限定)場所まで持ってこさせることなんて、電話で頼むこともないだろうし・・・・まさかうちの家に来たのだろうか?ジェノス君。

キャンプのこと言ってなかったものなぁ

おそらく母も、頼むつもりはなかったのだろうが、ジェノス君が快く引き受けてくれたので言葉に甘えたのだろう。そこは心苦しくても引き留めてほしかったところだが。

でもおかげで口の中の気持ち悪さに耐えながら寝なくて済むので、感謝だ。


「ねぇシルヴィ、見た?昨日のドラマ」

「ドラマ?」

「うん。アマイマスクさんが主演のドラマが始まったんだって」


あのクソみたいなやつが主演か。世も末だな!

舌打ちしそうになったのをなんとか堪えて、笑顔で「見てないよ!」と答えた。だいたいドラマなんて昔から好きではないし、ドラマを見るくらいならばバラエティー番組を見るくらいだ。世界の不思議とか、そういうのも大好き。

ちなみに昨日はもっぱら一時間スペシャルの動物番組を見て涙ぐんでいたので、あんな甘味顔面の主演ドラマなんて見ている暇がなかった。死んだ飼い主を待ち続けるわんことかマジ泣くしかない。おかげで朝起きたら目ヤニがいつもより多かった。

見てないとだけ言った私に苦笑しながら、ロズちゃんは「相変わらずだね」という。


「うじうじした男女の恋愛話なんて見ても得しないもん。でもロズちゃんは少女漫画とか、そういうの好きだもんね?」

「うん。やっぱりあこがれるよ、ああいうの」


少女漫画の主人公にありがちな逆ハーレムはかなっているのですが。そこらへんは自覚ありなんですかねロズさん。

ふーん、と相槌をして、私は持ってきていたお茶を飲み干した。