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面会が許可されたのでロズちゃんのお見舞いに来た。

なんでも、肋骨と肩をやられたらしく、少しの間だけ入院するんだとか。あのとき私がもっと早くに怪人に気が付いていればよかったのだが、突如空からふってわいてきたのでどうしようもなかったのだ。言い訳にすぎないかもしれないが。

私の後ろに立っているジェノス君を恨めしく思いながらも、ベッドに寝ころんでいるロズちゃんに謝った。ついてくるなって言ったのについてくるから!病院の中は若干騒がしくなってしまった。こいつのせいだろうおそらく。

くそっ、怪人が出ても倒せるからいいって、何回も言ってるのに・・・・これだからジェノス君は!忙しいくせによぉ!


「ごめんね、本当に・・・・何もできなくて」

「ううん。いいのよ。シルヴィが、ジェノスさんを呼んでくれたんでしょう?もしヒーローが来なかったら私、本当に死んでいたかもしれなかったもの。ありがとう」

「(俺は何もしていないが・・・・)」

「(いや、怪人は私が倒したんだけど・・・・こんなこと、言えないなぁ。バレたら面倒くさい)」

「ジェノスさん、ありがとうございました。助かりました」

「あぁ」

「何かお礼ができたらいいのですけれど・・・・」

「そんなものは必要ない」

「そ、そうですか・・・・・・・」

「あぁ」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・あ〜・・・あー!そうだ!次来るときはお菓子か何か持ってくるよ!何がいい?クッキー?チョコ?」


一瞬で気まずくなった。なにこれ!空気めっちゃ重い!

まぁロズちゃんも男相手にこんなに冷たく言われたことなんてなかっただろうし、ちょっと傷ついたのかな?ジェノス君は悪気があるわけじゃないんだ、許してやってくれ。


「ううん、お菓子はいらない。たまに話し相手になってくれると嬉しいな」

「そう?まぁ手ぶらで来るのは申し訳ないから、適当にお菓子持ってくるね!じゃあ私用事あるから、安静にしててね。お大事に」

「ありがとう」


ジェノス君が扉をあけてこちらを見たので、失礼しました〜と声をかけてから先に病室を出る。私のあとに続いて、ジェノス君も廊下へと出た。

帰るために外へと出ると、私はジェノス君のほうへと体をむけた。


「じゃあ私は帰るから、ジェノス君、ここまでありがとう」

「は?お前の家はまだ先だろう」

「いや、申し訳ないからいいよ。ここまで来れば家まではそう遠くないし、」

「そうやって油断してるからあんなことになったんじゃなかったか」

「油断についてはジェノス君には言われたくないけど!でも大丈夫だよ、本当。私、普通の人よりは弱くないからね」

「先生と肩を並べるくらいに強くなったら、その言葉、信じてやる」

「うん、あんまりにもハードルが高すぎて笑えないね!でもそんなに心配することないじゃん。ジェノス君、昔よりやけに心配性になったよね」


なんとなく、そう感じた。昔はこんなになかったのだ。

そうやって軽く言ったつもりだったのだけれど、ジェノス君はいたって真面目に返事をしてくれる。


「俺がサイボーグになる前から俺のことを知っているのは、お前だけだ。家族同様に、もし狂ったサイボーグや怪人に襲われでもしたらと思うと、気が気じゃなくなる。・・・・戦えるとは言ってもそれなりに戦闘後は不自由をすることがわかったんだ、安心はできないだろ」

「でもさ、力をつかったあとのそれは治らないものじゃないんだし、」

「・・・・お前は、治らないんだぞ・・・・!?足がなくなってしまえばそれで終わりだ!」

「そんなこと言ってられないでしょ!?気にしてられないよ!」

「お前がそういったことを気にしないから!俺が気にかけてるんだ!」


どうしてわかってくれない、なんで。

彼の言葉にぐっと息を詰まらせる。わかっているのだ、家族がむざむざと殺されて、大切なものを守らなければという意識が彼の中で高まっていることも。彼を昔から知る数少ない人間の一人である、私のことを大事に思ってくれていることも。

ただそれで彼の負担が増えるのであれば、無理はしないほうがいいと思った。結局、彼にとっては、私が一人で外出することのほうが心配で、負担になるのだろうけれど。

これだけ感情的にしゃべっているのだから、珍しいし、だからこそ私を大切に思っているのだろうということはうかがえた。

だからもう何も言わないことにした。ジェノス君がそばにいて、嫌だということではないのだから。


「って、ハッ!?そういえばジェノス君なんともない!?」

「は?」

「ロズちゃんと話してたでしょ!ロズちゃん可愛いかったでしょ!?」

「はぁ?いや、普通だと思うが・・・・急になんだ」


まさか、彼女のメロメロが効かないのかこいつ。