07
リンク通訳で戦えるのかと聞かれた。インパさんに。
それがもちろん虫との格闘とはまた違う、ガチの戦いのほうだとわかっていたので、即座にNOと答えた。それはもうハッキリと口にした。私は戦えません戦いません、平和主義、話し合いで何事も解決しましょう!
リンクが首を左右にふりながら、戦えないと言ってます。そう告げたら、インパさんは難しそうな顔をする。
「明日は宮殿だ。しかもシアがいるだろう戦で、こいつ一人を護衛するのも難しい・・・・・どうにか逃げ回れるだけの体力でもなんでも、あればいいんだが・・・・」
「?でもサキに攻撃は効かないんじゃあ・・・・」
「もしもの場合があるだろう。万が一攻撃を受けたとき、本当に私たちのときのように効かないとは限らん」
「それもそうですね」
攻撃が効かないだのなんだのリンクが言っているのを聞いていると、たぶん次の戦場のことで困ってるんだろうなって思った。というか困るくらいなら野放しにしてくれてもいいのだけれど、なんかトライフォースだったか。そんなのが私と関係してるらしいから、無理っぽいし。
でも私は悪くないよね?だって前居た世界には魔物なんていなかったしね!むしろそれで戦えるほうがすごいってもんだろう。そいつは常日頃何と戦ってたんだ。熊か。イノシシか。
というか本当に困ってるみたいで、二人とも首をかしげている。私も困って眉を下げた。私のことで悩ませているとなると、いい気分でないのは確かだった。
ん?いや、そんなに困る必要はないんじゃないか?私一人を放置すれば、みんなはいつも通り出陣できるってことだよね?なんかトライフォースのことはわけわからんが。私さえいなければいい話なのでは?
そう思い立ったが吉日。私は猛ダッシュで逃げた!
「っは・・・・?ちょ、おい!どこへ行く!?」
「サキ!?」
二人の戸惑ったような声が聞こえる。どこか村か街か、そういったところへ行けたら一番いいのだが、何かこの近くにあるだろうか?
追いかけてきているだろう足音が聞こえて焦ったが、ふん!と建物の近くへ!そう願ったら、なぜかテレポートした。
「あれっ、サキ・・・・!?」
「消えたぞ!・・・・ゼルダ様に報告せねば・・・・」
そう、テレポートした
まったく知らない世界の中、そんな世界のどこかに一瞬で、私は飛んだのだ。これなんだろう。私いつから人間じゃなくなったんだろう・・・・・トライフォースとかいうのがまた関係してるんだろうなぁ・・・・・この世界、魔法とかもあるみたいだし、こんなのできても不思議じゃないのかも。
唖然としながらしばらく思考に沈んでいると、少し遠くに何かしらの建物が見えた。
「お、」
建物だ!あそこらへんに村か街かあるかな?
とりあえず建物が見える方向へと足を進めていく。中々に距離はありそうだが、歩いていけるところにはありそうだ。
魔物が出ませんようにと祈りながら、木々の間を慣れない足取りで歩いた。
(嫌な気配が近くにあるわ・・・・・ヴァルガ、見てきて頂戴)
(具体的にどのへんか言え)
(丁度宮殿の前よ。はやくして)