05
「本当にトライフォースがあるのね」
「なんだろうな、これ」
妖精とリンクが私の顔を見て首をかしげる。生憎とこの場に鏡がないので、私の顔が今どうなっているのかなんて見えないし確かめられないのだが・・・・何か彼らにとって見慣れた模様が浮かび上がっているらしい。
なんだトライフォースて。意味わからん。
ゼルダ王女さんとインパさんが何やら深刻そうに話しをしている傍らで、リンクにたずねる。
「とらいふぉーすって何?国旗?国旗の模様?」
「違う。トライフォースっていうのは、まあ簡単に言えば、なんでも願いがかなうもののことだよ。知らない?」
「知らない。何それ。すごい」
「正確には勇気と知恵と力の証である三角が、3つ揃うとかなうんだけど・・・・とりあえずその模様が今、君の目の下にあるんだ。・・・・鏡がないからわからないよな」
「うんわからない」
私の顔に何が起こっているのか知りたい。しかし聖なる三角がどうのこうの、願いが叶うだの、とにかくすごいものであるということはわかった。
目の下を軽くさすりながら、特にこれといって感触があるわけではないんだなぁと一人思う。
「トライフォースの器であるハイラル人は消えたはずです。それも私の叔母の代に。それから神器が姿を現したという情報はひとつも入っていないのです。今現れるなど・・・」
「しかしながら、あの者には攻撃が効きません。目元のトライフォースも、まさか描いたものではないでしょう」
「えぇ。トライフォースとまったく同じ力は、わずかにですが感じますから」
「ではどう致しますか?」
「・・・・・敵でないのは確かでしょう。今ここで野放しにしたところで、敵側につかれても困ります。彼女は神器の可能性があるので、もしそうであれば敵側の勢力は格段にあがるでしょう。なんとしてもこちらに置いておかなければ」
「御意」
リンクが二人の話をうなずきながら聞いていて、その間3人の様子を見ていたら、話が終わったのだろう。リンクがインパさんから何やら話を聞き、そのままそれを私に伝える。
「さっきトライフォースの話、しただろ?君がそのトライフォースの器なんじゃないかって話になってるんだけど」
「はあ?そんなわけないでしょ」
「でもその目元は隠しようがない事実だから・・・・」
「だいたい器って・・・・どういうことよ」
「俺も知らない。とりあえず君の身の安全は確保できたんだし、まあ結果オーライだろ?」
「全然オーライじゃないね!」
「とにかく、インパさんが君に近づけない理由も、攻撃を跳ね返した理由も、そこにあるのかもしれないからしばらくは俺たちと居てもらうよってこと」
「話まとめてなんて頼んでないよやめてくれ」
「現実逃避よくない」
「もうなんなの君」
もう全部わけがわからない。どうにかしてくれこの状況。そして今更になってホームシックになりはじめたのか、懐かしき(とはいってもまだ2日しかたってない)母の顔が頭の中に浮かんだ。私は大分強い子だったはずですが、さっそく泣きたくなってきました。ヘルプ母上。