04
人間っぽいけど人間じゃないような生き物を見ても、そろそろ驚かなくなった。ヴァルガさんもそうだが、どうして私と同じ形をしてる生き物がいないんだろう?リンクたちの耳が丸ければ、完璧に同じだったんだけど。
一人ぶつぶつ呟きながらお手洗いをすませてテントへと戻ってくれば、兵士たちがぱたりと倒れてしまっていた。
「え?」
何、何があったの?私がスッキリしてる間に何かあったの?やだ、急襲?
しかしここで先ほどまで縛られていた私が、兵士に走り寄って「大丈夫ですか!?」というのもおかしな話である。ので、ただ驚きにあたふたするしかなかった。
すると、隣へと来たヴァルガさんが口を開く。
「お前は縛られていたが、何か怪しいことでもしてるのか?」
「いやしてないですよ!」
「ではなぜ拘束されていたんだ」
「わからないんです。なんか急に怪しい女だからとか言って縛られて・・・・とにかく家もどこにあるのかわからないし、本当何がなんだか・・・・・・ヴァルガさんはどうしてここに?家でもあるんですか?」
「俺はただの散歩だ。ハイラルの兵士どもをついでに潰して行こうかと思ったが、そう時間もなくてな」
「あ、時間ないところすいません。お手洗いできて安心しました、ありがとうございますヴァルガさん」
「あぁ」
じゃあな。そういってヴァルガさんが去っていった方向を見つめていると、すごく聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
その声は、何かを思いつめたようなもので。
「サキ・・・・・?」
兵士たちが倒れているこの場に私一人という、最悪な誤解を生む展開になってしまったのだと気づいたときには、リンクより先にインパさんが武器を手にしていた。
「貴様やはり・・・・!シアの部下か何かだろう!?今ここで始末する!」
え、えぇぇぇ!?やめて!やめてくださいインパさん!
「ちょっ、誤解なんですってば!怪しいのならむしろさっきまでいたヴァルガさんを・・・・!」
「ヴァルガ!?サキ、ヴァルガに会ったのか!?」
「う、うん。リンクの知り合いか何か?」
「問答無用!!」
ぎゃあああぁ!本当に斬りかかってきた!
逃げようとするが、まず一般人の私が、普段から武器を振り回してるような人相手に逃げられるとは思えない。というか刀を避けるなんてどうすればいいんだ。
よくわからないまま、襲い掛かってくるだろう痛みに体を強張らせた。
が、
「何!?」
突然。インパさんの刀が、甲高い音を立てて跳ね返された。
跳ね返されたのだ。別に私がどうにかして攻撃を防いだわけではない。リンクが動いてくれたわけでもない(なんかこう言うと悲しいな)
でも痛くなかった。インパさんの攻撃は、こちらへは届いていなかった。
「なにっ!?」
「・・・・・・?あ!ねぇ見て!サキの目の下!」
あれってトライフォースじゃない?
きゅうに妖精プロクシィがそういうのと同時に、インパとリンクの目がハッキリとこちらに向いたので、咄嗟に目元を隠してしまった。いや、何があるのかはしらないが、咄嗟に隠した。
「見せろ」
しかし凄んだインパさんには勝てず、今度は反射的に手が目元から離れた。こ、怖い。インパさん怖い・・・・