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01



お前は、器だ。

私には見える。お前の力が。


◇◆◆


聞いてくれ。バイトが入ってないからと遊ぶつもりで前日に意気込んでいたら、まさかの翌朝どしゃぶりという神様もどや顔をするような天候の酷さに、絶望するはめになった。
なんでだよ〜ちくしょー!とふて寝したまではよかったのだが。


「ファッ!?」


唐突に目が覚めたと思ったら、美女の顔がまじかにあって飛びのいた。今の瞬発力と素早さは褒められたものだと思う。いやまじで。美女だった。

心臓をバクバクさせながら飛びのいた状態のままあたりを見ると、美形、美形、美形・・・・美形!?


「ちょっと待ったどうした。私の目どうした」

「?あれ、もしかしてハイリア人じゃないの?ルト姫たちと同じ場所から来たのかな?」

「いや、わらわとダルニアと同じならば、言葉は通じるはずだぞ。おいそこの娘。どこから来たゾラ?」


え?なに?しゃべりかけられてる?

なんだか意味のわからない、どこかの国の言葉だろうものがポンポン出てきては首をかしげる。というか青い半魚人みたいな人いるけどあれは何。人間じゃないよね!?岩みたいな体してるやつもいるし!

本当にわけがわからんとおろおろしていれば、私たちのやりとりを見ていた緑の少年が首を傾げた。そして座り込んでいるわたしの前で膝を折る。


「俺はリンク。君は?」

「おっ・・・・・え?」

「君の名前を教えてくれない?」

「あぁ、あー・・・・・えっと・・・」


言葉が通じた!一人通じたぞやっふー!

そう喜んでいたのもつかの間、まさかの名前を聞かれるというやりとりで詰んだ。別に詰みたくてつんでるわけじゃあない。偽名を名乗ったほうがいいんじゃ・・・・?とか考えているわけでもない。

本当の話、名前が思い出せないのだ。

顔を小さく顰めて首をかしげるが、名前が浮かんでくる気配はまったくない。


「名前・・・・・名前?あの、」

「もしかして、覚えてないとか?」

「覚えてない?・・・・たぶん」

「どうしてここにいるのかも覚えてないのか?」

「いや、全然身に覚えがないっていうか。あれ?」


ほんと。ここどこだろう。


「とにかくここに居たら危険だ。俺たちと一緒に行動しよう」

「はい」


咄嗟にうなずいた私マジイエスマン。ノーと言える日本人になりたいが、何やらここにいては危険が伴うらしいので、大人しく一緒にいることを選んだ。


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