「えー!ちょっとくらいいいじゃん!」
「よくない!なんで俺がそんなものを着なきゃいけないんだ!」
「着てよ!あわよくば写真をとってアルバムに」
「断固拒否する」
ななしが俺にプレゼントだとか言ってくるからちょっと期待したのに、残念ながらそんな淡い期待は抱かなかったほうが良かったみたいだ。
フリフリのふんだんにレースがあしらわれているポケモン用の服を見て、まさかこれ自作じゃないだろうな、とななしに視線をむけると、
「自作なの!徹夜したりしてつくったのに!」
自作らしい。
「そうは言っても俺だってオスだぞ。人間で例えたら男だ」
「ぐぅ」
「男がフリフリの服なんか着てたら気持ち悪いだろ?」
「私はいいと思う、ラティオスなら」
「俺はポケモンだ」
フリフリだけでは飽き足らずにワンピースとまで来た。これはお手上げだ。渋々着るとしても、こんなワンピースだけは絶対に着れない
いや、帽子とかそんなのならいいんだけどな。あってもリボンまでなんだが・・・・
「どうしても駄目!?」
「駄目」
「うっ・・・・・・じゃあいいよ、もういい。私散歩いってくる!一人で」
「それも駄目だ」
「なんでよ!森にはもう行かないって!あ、それとも好き好きちゅっちゅさせてくれるなら、家でくつろいでてもいいけど?」
「それは勘弁してくれ・・・・」
ななしからのスキンシップは尋常じゃない。抱きしめられたらもう一時間は余裕で離してはくれないし、頬ずりからキスから本人曰く愛の言葉から、なんだかこちらが恥ずかしくなってくるレベルの好意をぶつけてくる。
嫌ではないが、あまりにも頻繁にこういうことがあるので疲れる。適度なものならまだいいのに
「なんでよー、ラティオス大好きー!!」
「やめろっ、やめてくれ!」
「何も逃げなくてもいいじゃん!?」
「逃げないといつまでも離してくれないだろ!?」
その気になって抱きついてくるななしが怖い。あの細っこい腕のどこにそんな力があるんだと叫びたくなる。