「やばい、迷子になった・・・・」
今日はなんの用事もないので、ラティオスと森へ来ていた。きのみを探しに来たのだ。今の時期は寒いけれど甘みが増すきのみもあるし、無性に食べたくなる
だからって森で迷子なんて死亡フラグ、私は望んでなかったよ!
「お、おちつけもちつけ」
まずは冷静になろう。つーかラティオスどこいったんだよ、いたいけな主人を置いてさぁ!・・・・・・・・・・あっ違う。私がラティオスを置いてきたのか・・・・
いやしかし、森で迷子になったときの対策なんて私は知らない。まずなるとも思ってなかったので、勉強もしたことがない。右も左もわからないしお目当てのきのみもないよ。どうしよう、本当どうしよう。
よくよく考えたら森に人間一人って、結構危ないんじゃないかなあ
ちくしょう早く来いよ!ラティオスのくせに!
「ラティ、」
ラティオスー!と名前を呼んでとりあえず探そうと試みる。そこで、ふと視界に大きな影が入り込んだ
あれ?ラティオス?と横へと顔を向けたところで、私は発狂した。確かに大きさはさほど変わらないが、そこにいたのは青いポケモンじゃなくて、めったにここらじゃみないボスゴドラだったのだ
山をまるごと縄張りにするとは聞いたことがあるがここは森だぞ。おい、ここは森なんだよボスゴドラ。山へお帰り
「ガァアァァ!!」
「ぎゃあああ!ここ森だよね!?」
森で遭難したときの対策もわからない、おまけにこういった凶暴なポケモンに遭遇した場合どうすればいいのかも、わかってない。致命的だった。
こんなことならそういったことも勉強しておけばよかった!とは思うものの今更もう遅い
「待って待っておぉおお意外と足が速い!!」
残念ながら私の足が遅いだけなんだけどね!
走って逃げだしたはいいものの、ボスゴドラも逃がすものかと追いかけてくる。途中上り坂があったりして死ぬかと思ったが、そんなのはまだ生ぬるかったようだ。
「っえ・・・・」
はぁ、はぁと息を切れさせながらも見た光景は、樹海。自分の立っている場所が相当高いところから察するに、というか見るからに私が居る場所は崖だった。運が悪かった。後ろからはまだボスゴドラが追いかけてきているというのに!
本格的に視線を右往左往させて、なんとか助からないかと逃げ道を探すも、どうしようもなくて、
「ご、ごめんボスゴドラ、わたしあなたがいるなんて知らなくて・・・・」
後ろを見る。結構な高さだ、ここから落ちてしまったらただではすまないだろう。だが残念なことにこのままこの場所にいても、生存率はきわめて低い。
冷や汗が額を伝う。ボスゴドラが怒声らしき鳴き声を、高らかにあげた
(ラティオスの馬鹿やろうっ・・・・!)
馬鹿なのは、迷子になった私なのだけれど。
重力に従って風を全身で受けながら落ちていく私は、恐怖に喉を引きつらせて目を閉じた。