「・・・・・・・・・・えっ、ちょっ、人になれたのかよ!?」
「最近気づいた」
「最近!?」
「あぁ。最近。・・・・・・人の形を模ることが出来るのは条件が必要だ。知ってるだろ?」
条件?そういえばなんか聞いたことがあるな。
もっとも強い信頼を持つポケモンが、いわゆる擬人化とやらをするらしい。まぁそういったことについてはまだ詳しくはわかっていないし、一番の条件としてあげられるのが「トレーナーへの信頼」であるというだけで、それが本当かどうかはわからない
ラティオスの腕から抜け出して視線をあげると、ラティオスは少し恥ずかしげに微笑んで言う
「俺、お前のことがなんだかんだ好きだから、出来たんだろうな」
「ラティオス・・・・・」
なんだこのイケメンは。けしからん・・・・・!
「うおおぉラティオスぅぅ!!」
「うわっ」
「避けられたッ!?いだあ!」
あまりの嬉しさにタックルしたら避けられた。いやそこは受け止めろよ!どう考えたって今のは最後に抱き合って、ハッピーエンドって流れだったでしょ!?
床に体をぶつけてうずくまる。そしてしくしくとあまりの寂しさにいつものように文句を言った。
「ラ、ラティオスが・・・・!私の愛を受け止めてくれなかった・・・・!」
「大げさだなぁ」
いつものように自力じゃあ起き上がらない私に、ラティオスは腕を掴んで引っ張り、立たせてくれる。あ、そうか。今人の姿なんだ。いつも念力で無理矢理起こされるからなんだか新鮮だ
もう一回ぎゅっと、改めてラティオスを抱きしめると、いい香りがした。やだっ私ってば変態くさい
「この姿だったら、ななしとどこへでもいける」
「うん?どうしたの?」
「なぁ、ななし」
まさかここまできて、俺を手放すなんてことは、しないだろうな
少し冷めた声が鼓膜を震わせる。少しゾッとするような声色だったが、気のせいだということにして笑った。
でも瞬時に泣きそうになる
そういえばそうだった。