05
こんのすけが、刀のことを話しはじめた。
「ブラック本丸というのがどういうものかはご存知ですか?」
「まあ、それなりに」
政府から最初に説明を受けたので、結構ひどいものだとは認識している。
しかしなぜそこから刀が来るんだ?大丈夫なのその刀・・・・うちの薬研や光忠に危害を加えようものなら、即座にお蔵入りにするけど。
少し不安になりながらも、話に相槌をうちながら、なんとか理解しようと頑張る。
◇◆
「はあ。つまり、危害はないってこと?」
話の内容としてはこうだ。
どこぞのブラック本丸が摘発され、審神者もろとも政府の力で本丸が消えたのだそう。その本丸の審神者は、大層三日月宗近という刀をかわいがっていて、出陣もさせず、内番もさせず、ただただ着飾っては人形のように室内へおいていたのだという。
可愛がられていたのは、その三日月宗近だけ。
その他刀剣たちは、まともに食事もとれず、まるで奴隷のように毎日重労働を強いられていたのだそう。
そしてどうして私の本丸へ来たのかといえば、私がまだまだピカピカの審神者だったから。
三日月は可愛がられていたために、出陣はしていない。だから練度も上がってはいない。初出陣も迎えてはいないのだ。となると、こいつは攻撃性があるわけでもないし、新しいひよっこ審神者のところで育ててもらったほうがいいんじゃないか、という話になったらしかった。刀解するには、あまりにももったいなくて、政府も私に押し付けたのだ。
「だが大将。もとはブラック本丸に居たやつなんだぞ?どんなネジのぶっ飛び方してるかもわからねぇんだ。政府に返したほうがいいんじゃないか?」
「うん、僕もそう思うよ。この刀を顕現させて、ここに置いておくのは安全とはいいがたいからね」
「二人とも考えすぎじゃない?大丈夫だってー」
深刻そうな顔をしている二人とは対照的に、私は楽観的に物事をとらえた。だって別に、政府側が攻撃性がないって言ってるんでしょ?それが外れてたとしても、暴れようものなら本丸から追い出せばいいじゃない。
そういって笑えば、二人はあまりよくない顔をする。
「刺されてからじゃ遅いんだぞ、わかってるのか大将?」
「わかってるよ」
「主は少し楽観的すぎるよ・・・・」
「二人が考え込みすぎっしょ。いけるいける」
それに、たらい回しみたいにするのも、この刀には悪いよ。
ブラック本丸で顕現されて、潰されて、政府がわにいたり。こちらに来たり。それでまた政府に押し付け返すというのは少し、あんまりな気がする。
「何も知らないのは二人と同じ。私もね。四人で頑張ればいいじゃない!」
今度こそそういって胸をはった。二人はしばらく考え込んでいたが、苦笑して折れてくれたみたいだ。
「しばらくは、大将の傍は離れられねぇな」
「家の中でも護衛が必要になるなんてね」
何かあったらお願いします。頼もしい私の刀。