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03



出陣は明日しようということになり、私はとりあえず光忠に留守を頼んで薬研と買い物に出かけた。留守を頼む際にあまりにも何もなくて、暇だろうからどうしようかと迷っていたら今月の本丸カタログというものに家具がのっていた。ので、それを光忠に渡してある程度家具を決めておいてくれと頼んだ。

城下町のような場所が存在することには驚きだ。着物などを着ていない私が浮いて見える。


「ぼったくりには気をつけろよ?」

「大丈夫」


財布をきちんと持って笑顔でそういえば、薬研も小さくわらった。イケショタ。

とりあえず食べるものがないので、肉や野菜を中心に米も買って、お箸とお皿なども必要だろうし買わなければいけない。というかどうして簡易的なものすら政府は用意してくれないんだ。冷蔵庫はあったからよかったけど!でも業務用だったのには本当にびっくりした。

お皿などは薬研に選ばせて、お肉や野菜などはなるべく安いものを。節約って大切だからね。うん、なんていうか、ほぼ置いてあるの業務用なんだろうから量とかすごいんだけど。だから値もはるんだけど。でも安いものがいい。

別に賞味期限が近いものとか、そういうわけじゃないしね!単なる量の問題だ。値段の動きは。


「光忠はどれくらい食べるんだろう・・・・」

「ふつうぐらいなんじゃないか?」

「でもムキムキだよね」

「胃袋の大きさとは関係ないだろう、大将」


それもそうだが、総じて体格のいい男の人というのはほかの男よりも食べる気がする。ただの偏見なのだが。


「まあ、食事、という習慣自体が俺たち刀にはなかったもんだからなあ。どうせ冷凍して保存できるんなら、少し多めに買ってったほうがいいんじゃねぇか?」

「そっか。食べたことないのにどれくらい食べるのかとか、よくわからないよね」

「そういうこった」


またひとつ勉強した。

ふむふむとうなずきながら、大量に野菜やお肉を購入する。じゃがいもなどはすぐに芽が出てくるので少なめに。

調味料も買って、お皿なども買った。お水はちゃんと水道があるし、いざとなればきれいな井戸水もある。どうにかすれば飲めるだろうあれは。

掃除道具は一式揃っていたので、蔵に直している。あと何故か普通のガスではなく、うちの本丸の調理場はIHなのでフライパンなどもそれに対応したものを買った。ただやはり家具がないのが問題だ。

タンスもない。机もない。居間だってテレビがあるわけでも、なんでもないのだ。ごみ箱だってあんなに広い屋敷なのに、キッチンに大きなものがひとつあるだけ。そういえば布団がない。こんのすけにどうすればいいか聞かなければ。それか、今度は薬研をお留守番させて、光忠とどこかへ買いに出るか。

どっちにしろ早く済ませてしまわなければ時間がない。暗くなっては太刀は夜目がきかないというし・・・・


「布団か・・・・・・っうわ、」

「大将?」


シングルでいいよね、と思いながら、ふと視界の端に大きなものが映った。

どんっ!と思いっきり誰かとぶつかったのに慌てて謝罪する。今日は人が多いから注意して歩かなければいけないのに、やってしまった。


「すみません!あの、大丈夫ですか?」

「ああ、心配には及ばん!俺のほうこそすまぬなあ。小さくて見えなんだ」

「いえいえ・・・・」


身長が二メートルあるんじゃないかってくらいでかい男の人。薙刀を持っているあたり、もしかしたら刀剣なのかもしれない。

あんな刀剣もいるのだなぁと感心しながら、ひらひらと軽く手を振って別れる。いい人過ぎやしないか?薬研たちもそうだが。

それにしても強そうだった。


「なんだか・・・・さっきの刀の人、逞しかったねぇ。強そう」

「そうだな」

「長い間ほかの審神者さんのところで戦ってるのかな〜」


気迫というか、なんというか。とにかく練度も高そうだった。

そう呟けば、ピタリと薬研が足を止めた。なんだろうと思って私もつられるように足を止める。


「大将、今の俺じゃあ頼りないだろうが・・・・」

「うん?」

「すぐにでも強くなって、あんたの守り刀として立派に動けるようになるからな」


薬研がこちらを見つめながら、しっかりとした口調でそういった。

くそ、なんでこんなキュンとするような言葉をスラスラと言えるんだこいつ!

あまりの不意打ちにもだえ苦しみそうになるのをなんとか堪え、無理だけはしないでねと伝えた。もしかしたらさっきの刀剣を強そうと言ったから、薬研なりに少し不安になったのかもしれない。

それだと申し訳ないことをしたと思う。


「私も頑張ろう」

「一緒にな」

「うん」


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