02
「僕は、燭台切光忠。青銅の燭台だって切れるんだよ。・・・・・・・うーん、やっぱり格好つかないな」
刀に神気を込めろだの意味のわからないことをこんのすけが言っている間、刀を持ったままおろおろしていると、突然刀が光った。
そして目の前に桜を散らせながら現れたのが。
「チェンジッ!!!」
イケメンだった。
「だから変更はできませんと何度も言っているでしょうに・・・・もうあなたにはこの一振しかないんです。駄々こねてないで我慢してください」
「いや、こんのすけ。まず同じ屋根の下でこれから一緒にいるのなら、まず直視できない顔って無理でしょ。考えてよもうちょっと」
「あんたどんだけ美形に耐性ないんですか」
「だって!普通にイケメンならまだしもなに!学年に一人いればすごいくらいの美形じゃんか!聞いてない!」
ぽかん、と口を開けて茫然としている刀は、何が何だかと言った風にこんのすけと審神者である女を交互に見つめる。
「ぶつぶつ言ってもしょうがないものはしょうがないでしょう」
「だって」
「もっというなら燭台切様だとて貴方みたいな審神者に仕えたいわけじゃないんですよ?」
「命はむやみに捨てるもんじゃないってわからないのこんのすけ」
再度縄で縛りあげてやろうかと思い至った私を、先ほどまで黙っていたイケメンが「まあまあ、落ち着きなよ」とこれまたイケボイスで宥めた。
そして次には少し悲しそうな顔をして、こう問いかける。
「君の初期刀としては力不足かな?嫌かい?」
嫌じゃないですと即答してしまった私はもうどうしようもないんだろうな。
◇◆◇
これからよろしくお願いしますと土下座をかまし、台切さんを困らせてから鍛刀所へと向かう。最初は資源を50個ずつで鍛刀してみたらいいとこんのすけにアドバイスされ、手伝い札とやらを使ってつくってみた。
そしたら今度はイケショタが出てきた。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
もうね、なんでイケメンなのかと。どうしてそんな可愛らしい顔してこんなに声低いんだと。しかも俺っちってキャラ濃すぎじゃないかイケショタはあはあ!
「危ない方向に突っ走ってません?」
「いや別に?」
「それならいいですが・・・・」
「あの、よろしくね、えーっと藤四郎さん」
「さん付けはやめてくれ。あと兄弟も多いんでな、藤四郎じゃあこの先ややこしくなる。薬研でいいぞ大将」
「薬研」
「そういえばさっき、僕のこと台切って呼んでなかった?」
「いや?まさかそんなことするわけないじゃん」
「じゃあ僕の名前は?」
「なんとか台切」
「光忠も覚えられてないの僕」
いやあ名前覚えるの苦手なんだよね。ごめんねー