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寂しいかときかれたらまあ、さみしい。恋人に会えないというのはやはり、重度のものではないにしてもさみしさを感じる時がある。でも正直連絡もとる時間がなくて、仕事が終われば帰ってお風呂に入りすぐに寝てしまうのだ。ご飯も適当に食べはするけれど。どちらかというと睡眠優先ではある。

私、七時間以上寝ないと動けない子なのよね。

そんなもんだから、朝五時半に出勤して、午後六時に仕事が終わってからはダッシュで帰ってとりあえず家事。そして上記のとおりの生活である。

まあ繁忙期だからしょうがないとはいえ、忙しすぎるよね。死ぬ気で仕事しろって言われるけど、過労死したところで私達はまた屍のような状態で復活するのでほんとマジ辛い。文字通り死ぬ気で仕事しても死なないのである。・・・・・人間は死ぬだろうが。

そして私は死ぬ気で睡眠時間を死守しているので、死ぬことはない。何を言われようと明日のことは明日やるし、翌日に回せるものがあるのならば翌日に仕事はまわす。他の人間が残業していたところで、多少は手伝うが私まで被害者になるつもりはない。死にたくないし・・・・・(白目)

とにかく、そんな生活をしていると恋人と連絡もとれないのである。

一息ついたときとか、たまに抹本くんの顔を思い出すのだけれど、閻魔庁がこんなに忙しいのだから彼も彼でバタバタしていることだろう。会いたいし顔を見て元気にやっているか知りたいのだが、何せ時間がない。私も、恐らく彼も。

会う機会ねぇかな〜と死にそうな顔で今日も巻物の運搬をしていたら、なんと、会えた。なんという偶然。


「ひぇ、ななし・・・・・・?ななしなの・・・・?」

「私以外誰だというの・・・・・久しぶり、抹本くん」


私が嬉しさに頬を緩めている間、抹本くんはぺたぺたと私の顔や腕を触っている。いや、何故そこまで本物か疑ってるの抹本くん・・・・・


「い、生きてたんだ。よかったあ!てっきり、ほかの人たちみたいに、し、死んでるんじゃないかって、心配してたんだけど・・・・」

「ああ・・・・なんか最近倒れる人多いよね、閻魔庁。この会社ブラックすぎない?」

「うん・・・・まあ、恒例と言ってもいいくらい、人たおれてるよね・・・・・この時期はね・・・・・」


おかげでリコリス病院の患者数も増えているのだとか。獄卒は病院に行けないのに、一体だれが行ってるんだ?獄卒の人たちは死んでようが倒れてようがそれが過労ならば部屋に捨て置かれるだけなのだが。回復が早いから。

しかし、仕事の話はいいとして。私はほっと心の中で胸をなでおろした。


「でもよかった。閻魔庁が忙しいってことは、特務のほうもバタバタしてるんじゃないかって思ってたんだ。抹本くんが元気そうでよかった!わたしも心配してたんだよ?一目でもいいから顔だけでも見たかった」

「え!?あ、うぅ・・・・・あ、りがと・・・・」

「大丈夫そうで安心したよ」


顔を真っ赤にして俯きながらも、お礼を言う抹本くんマジ天使か?天使かな???私死んだの?お迎え来てる???(混乱)

やだわたしの彼氏かわいい〜!!と変なテンションで抹本くんを見ていたら、抹本くんがふと、思い出したかのように呟く。


「あ、そういえば・・・・ななしが倒れちゃったときは、ちゃんと病院に搬送してもらうようになってるんだあ」

「・・・・え?でも他の人は捨て置かれてるけど・・・・?」

「だ、だってななしを捨て置くなんて、そんなこと出来ないし・・・・もしそんなことする奴らがいたら言ってね?」

「い、言うの?」

「言ってね?お願いだから」

「おう・・・・・」


何故かやたらと気迫で押してくる抹本くんに負けて、力なく返事を返した。言ったらどうなるんだろうか?どうともならない気はするんだけど、何故だか嫌な予感がするので黙っておくほうがいいかもしれない。

しかもそのあと「・・・・ななしが倒れたら病室に閉じ込めちゃおう」って呟きが聞こえたから私はやっぱり睡眠時間と三食のご飯を死守せねばなと思った。