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疑わないで



「好きです、付き合ってください!」

「悪戯なら他を当たってくださいお願いします」



しつこい。なんてしつこい男なんだリンク!お前そんなんじゃ嫌われるぞ!

学校中を走り回って外に出てもリンクは諦めないつもりなのか、相変わらず私を追いかけてくる。ここでゼルダに助けを求めてもいいのだが・・・・生憎と今は地上で散歩でもしていることだろう。そんなゼルダに助けを求めにいけるほど私は足が速いわけでもなんでもない

鳥乗りの技術だって誰よりもズバ抜けて上手いリンクから鳥に乗って逃げるなど出来るはずもないし


「お願い!嘘じゃないんだ!本当なんだよ!」

「大人しくゼルダとランデヴーしてろこのたらし!」

「なんでゼルダ!?」


お前明らかゼルダ好いてますみたいな行動してるじゃん!ちょっ、マジできつい・・・・!

ぜぇはぁと息が切れて足もだんだん重たくなってきた。大体スカイロフト半周+校内全力疾走を見事こなしてみせた私は我ながら凄いと思う。とんだ体力を持ったもんだ

しかし勇者となったリンクはさらに強敵なのである

体力はもちろん勘だってさえているので、隠れたって無駄だし、何せスカイロフトの住民はイケメンリンクの味方である。情報はすぐにリンクの耳へと届いてしまうことだろう

となれば、やはり諦めるしかないのだが


「うわあああん怖いよリンクぅぅ!!」

「え!?どこが!?追いかけてるから!?」

「わかってんならやめろ今すぐ!」

「でもなまえが逃げるから・・・・・!」

「わかった、わかったよ!私も止まるから、リンクも止まろう!それならいいよね!」


いっせーのーで!

私の掛け声で勢いよくブレーキをかけた二人は、地面をスライディングしながらやっとこさ止まって見せる。

それから止まったことによってどっと疲れが押し寄せて来て、普段走らない私の足はもう使い物にならなくなった。へなへなと座り込む私の前に歩いてきては笑顔を見せるリンクに、なんでこいつ息一つ切れてないんだと叫びたくなる

で、話は戻った


「ねぇ、聞いて」

「いやだ」

「そんなこと言わないでさ」


いつもどおりの優しい口調で言うリンクに、私は内心戸惑う。

私はリンクの好きな人はゼルダだと思っていた。今もそれは変わらないし、ゼルダと共に地上で暮らし始めたリンクが何よりの証拠なんじゃないかと私は思う

気づいたら誰もいない女神像の前まで来てしまっていたようだった


「何か罰ゲームで告白でもしろって言われてるんでしょう?律儀にしなくてもいいのに」

「違うってば」


日は暮れ始めている。優しい風が私たちをふわりふわりと撫ぜていった。

リンクが私の顔を持ち上げるものだから、抵抗せずにそれを受け入れてリンクの瞳を覗き込んだ。もうずっと見ているというのにいつでも綺麗だと思える瞳が私を映して動かない。リンクは言う


「僕はなまえが大好きで、愛してるんだ。ゼルダに対しての好きと、なまえに対しての好きは全然違う」

「そう」

「まだ疑ってる?」


あぁ、このまま疑い続ける私を面倒くさい女だって捨ててくれればいいのに


「じゃあさ、証明してあげようか」

「え?」

「なまえがスカイロフトに戻って来いっていうんだったら、僕は地上なんか捨てることが出来るんだよ。だって、ここで僕は生まれて育ってるんだから地上なんかに居なくてもいいんだから。なまえと一緒にいられるなら地上もスカイロフトも同じくらい魅力的だと思う」

「は、っえ・・・・・だ、駄目!それは駄目!」

「またゼルダが〜とか?」

「そう!ゼルダ!だってゼルダと地上で暮らすって約束したんでしょ?駄目。私が言ったってそんなことしちゃ駄目だから!」

「ゼルダだって僕が事情を話せば笑顔で頷いてくれるよ」


その根拠はいったいどこから出てくるんだ

そういいたかったけれど、もう押して押して押しまくることにしているのか、リンクは私の言葉など聞いてはくれないだろう。

それでも、リンクにそういわれて、嫌なわけじゃなかった。むしろ嬉しかった


「僕を信じてみてよ。疑うよりも信じるほうが、気持ちは楽でしょ?」


絶対に幸せにするから、ねぇ


私は可愛らしい口付けに、思わず笑みを零した