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マスターソードを引き抜いて七年後にいったら、名前もわからない、見たこともないような男の人が台座のすぐ傍で座り込んでいた。

一度マスターソードに視線を落として、それからまた顔をあげる。いる。扉を見る。前に視線を戻す。いる。

・・・・・・・・なんでこんなところに?


「あ、あの・・・・・」

「あ?・・・・・・・・うわああああ!!」

「ええええ!?」

「似てるぅぅうあいつとすっげぇ似てる!!」


僕の顔を見るなり絶叫した男は、一頻り叫ぶと今度は似ている似ていると繰り返した。誰かに似ているのだろうか。まぁ世界は広いし自分と似た人間だって、一人や二人はいるもんだろう

そう思うのだがどうやらそういったことではないようで、男はぼそりと「勇者・・・・・?」と呟いた


「勇者?」

「リンクのことネ。どうしてリンクが勇者だってこと知ってるの?」

「り、リンクか。お前の名前はリンクっていうのか」

「そうだよ。君は?」

「俺は・・・・・夢主。夢主だ」

「夢主・・・・・?なんだか懐かしい感じがする」

「気のせいだろ」

「どっかで会った?」

「そうだな、気のせいだ」

「でも確かに、」

「気のせいだ」


気のせいしか言わない夢主にむっとしていると、ふと、夢主がリンクの手にある剣を見ていることに気がついた。そしてまた夢主は一人納得したように何か呟くと、リンクへと視線を向ける


「ファイはもう出て来れないのか・・・・まぁ変な生き物がリンクにはいるしな」

「ネェもしかしてそれナビィ?ナビィのこと言ってるの?あなた妖精とか知らない?」

「妖精?妖精なら数匹見たことあるけど。死にそうになったらビンから出て助けてくれるやつだろ?」

「ワタシはそんなことしないケド、その妖精と一緒ヨ!」

「しないのか・・・・」

「ところで、なんで君はこんなところに?」

「あ、あぁ。別に大した理由はねぇよ。ただその・・・・まぁ色々とあっただけだ」

「でも僕のこと勇者だって言ったよね」

「あのなぁ、俺の話なんか聞いてどうするんだ?まずは世界救って来いよガノンドロフとかいう魔王倒してさぁ、ああ?」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「ガノンドロフ、知ってるんだ」

「シラナイ」

「魔王ってことも」

「・・・・・・・・・・・・」

「マスターソードの近くにいたってことは、何かに関係する人?」


それはゼルダやガノンドロフとの関係についていってるんだろう。

夢主は言ってしまえば全く関係のない人間だ。それは人間関係においても運命的なものにしてもゼルダやガノンドロフとは本当に、無縁だった。ただの一般人なのだ。ただちょっと、どういうわけかファイと共に眠り続けて、勇者が現れた途端に目覚めるという不可思議な体験はしているものの、それだけだ

どうでもいいけど俺死んでなかったか?

ファイを見つめながら、どうしたもんかなぁと一人悩んだ


「俺は一般人だ」

「嘘」

「嘘じゃないよ。本当だ。確かにゼルダやガノンドロフのことは知っているが、それだけなんだ」


俺の知っているリンクではないリンクが、俺を見て首をかしげた

どう説明すればいいのかもわからないし、とりあえず「マスターソードを見守る者」とだけ嘘ついておいた。実際そんなすごいもんじゃないよな。ほんともう、でしゃばってすみません

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