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泣きつかれて寝るという子供のようなことをしでかしたメイナは、久しぶりに泣いたからか体力も底をつきて救護室で少し横になっていただけで、眠ってしまったのだ

腕には包帯が巻かれていて実に痛々しそうではあった。きっと麻酔もあまりないからと使ってもらえなかったのだろうから、相当痛かっただろうと思う。それもこれも全部喧嘩していた男たちが悪いはずなのに、リンクには到底そうは思えなかった


「メイナ・・・・・・」


汗と涙で頬に張り付いてしまっている髪を退けてやり、そこに唇を落とす。労わるように頭を撫で髪を指で梳いた。そこには本来優しさしかこめていなかったはずが、普段から堪え切れていない感情が零れている


昔からメイナとは、しょっちゅうではなかったが一緒にいた。

その度にメイナは怪我をしていたし事故にもあいそうになっていて、周りからはドジな子だとか運が悪い子だとか散々に言われていたようだったが、リンクだけはそんな周りの反応に違和感を持っていたのだ

違うような気がした。

メイナはドジなわけでも運が悪いわけでもない、気がしていた。そりゃあ少し抜けていたりするところはある。だがいくら運が悪くとも、いくら鈍臭くとも、こんなに人生において怪我をした人間なんていないんじゃないかと思うぐらいメイナは怪我をしていた

おかしいのだ。運が悪いなんて規模じゃない。リンクは直感的にそれがわかって、けれどもだったらどうして、メイナはこんなに酷い目にあうのだろうと考えた

体質でもない。運が悪いわけでもない。だったら何が、

そこまで思考を働かせて、リンクはあるひとつの存在に気が付く

そういえばメイナが怪我をするときは、決まって自分がいたと。メイナが血を流すときは当たり前のように傍には自分が立っていたのだと、わかってしまったのだ

それが本当なのかどうかはわからないが、妙に納得のいく感覚にリンクは眉間にシワを寄せていた

自分のせいでとは思いたくなかった。だって思ってしまえば、そこまでなのだ。もうメイナに近づくことも出来なければメイナと話すことも困難になってしまう。そんなのは嫌だと思った


「メイナ、メイナ・・・・・」

「うん・・・・・・?」

「大丈夫?痛みは、意識は?」


なんとかして一緒にいられる方法はないのか、探さなければいけない

メイナはこのことに気づいているのだろうか。さすがにもう、これだけリンクと一緒にいて起きる数々の出来事に察することぐらいは出来ているかもしれなかった。焦ったように名前を呼んで今度は眉間にキスをすれば、メイナは疲労を顔に浮かべて布団で眉間を拭いていた。いつもの彼女だった

唸って、数回目をパチパチと繰り返して、けれども下がる瞼に格闘しているメイナは眉間を気が済むまで拭くと、そのまま瞳をリンクのほうへと向けた。暗い、けれど綺麗な、深海のような青い瞳が揺れる


「おはよう、メイナ」


メイナはゆっくりと、頷くように、瞬きをした




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