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小さい頃からリンクは何かと私にべったりなところは、思えばあった気がする。何をするにしても一緒にしたがって、何をするにしても同じことをしていた。思い出してみたらそんなことばかりだった

リンクは子供のときからメイナによく抱きついたり頬にキスなんて日常茶飯事のことだったから、メイナは余計にリンクのことがわからなかったのだ。リンクのスキンシップは小さい頃からの延長線なのか、それとも本当にそういった意味が込められているのか。そこらへんはメイナには察することが出来なかった。だからリンクの行動にも疑問は感じたが、確信を覚えることなどなかったのである


「どうしよう。どう、すればこれは・・・・・・」


リンクの思いに応えられないと私は引き止めるリンクを振り切って自室へと戻ってきた。荷物を纏めて、今すぐにでもカカリコ村に向かおうと服を着替える

そもそもリンクがそういう気持ちを私にもっていたとして、報われるのかと聞かれればそれは首を横に振るものだ。リンクが嫌いだとかそういう話ですらない。リンクを好きになろうとしたところでそれが無理で、出来たとしてもその先にはいけないことがよくわかっているからだ

近づくことが出来ないのであればそういった関係だって築けるものではない。

リンクが私を好きだといってくれたことにはありがとうとしか返せないのである。そこで私も好きだよ、と返せる日はきっと来ない。そりゃあ、好んで私を、この広い世界の女の中から選んでくれたことは感謝すべきことなのだろう。それは誰にだって言える。いくら苦手でも、いくら嫌いなやつからでも、好意を向けてくれたこと自体は当たり前ではないのだ。有難いと思うべきことなのだ

別に何度も言うように私はリンクが嫌いなわけではない。ただ、怖いだけで。苦手なだけ。それが改善できるのならば私だってしたいさ。気持ちだって軽くなって悩みだってなくなるのだろうから

だから私は今日、ヤクシャという人物をたずねることにした

仕事は途中でやめて、貸し出しされている馬へと跨る。これでリンクと私にある何かしらの問題が解決されるのであればそれは、とても嬉しいことだった。それに賭けるしかなかった。占い師には魂の問題だからどうしようもないとは言われたけれど、それでもだからといって諦める理由にはならない

自分のために、もう怪我をしないように、事故に遭わないように私は、カカリコ村に行くのだ。


「ここから西に向けて走れば村の入り口が見えてくる。頑張れよ嬢ちゃん」

「はい」


そこまで村へと馬で行くのならば時間もかからないのだが、何せ初めての平原だったので馬を貸し出ししているおじさんからはパンをひとつもらった。もし迷ってしまったときの非常食ということで、私はそれにお礼を言って袋に入っているパンを鞄に入れ込んだ

馬はゆっくりと速度をあげていく

私はのんびりと流れていく町並みに目を向け、それからため息を吐いた

なんで私はこう、私にとって厄介な人物に好かれてしまったのだろうかと思わずにはいられない


「リンクも馬鹿だなぁ・・・・」


自分のことを怖がる女を好きになるのだからよっぽどだ。まぁでも小さい頃から好意はあったとのことだし、そこらへんはあんまり関係ないのかな

悶々と考え込んでいれば、あっと言う間に平原へと出てしまっていた。ここから西へ向かって、歩いていた馬を走らせた





「あ・・・・・・?」


あれはメイナ?

ゼルダの近くにいつもいたインパは、今日はたまたま新しい武器が入るとのことで武器屋へと足を運んでいたが。そこで見知った姿を目にして立ち止まる。隣にいたハイラル隊長である男もそれにつられて足を止めた


「どうなされたんですか?」

「いや、知り合いが街を出て行っていたのでな。どこへ行っているのか気になっただけだ」

「?」


どうして街から出て行っただけで気にかけたのだろうと男は思う。それに対してインパは男の心境になど気づくはずもなく、ただの娘であるメイナが一体一人でどこへ行こうとしているのかと少々疑問に思っていた

普通兵士や旅人、それ以外の普通の人間は他の村や町へ移動する際は馬車を使う。そのほうがいいからだ。馬車には護衛が必ずついてまわるし、何よりどこへ行くにしても平原で迷うことがない

そういったことが引っかかっただけで、だからといって別に心配をするわけでもなくインパは、城へと向けていた足をまた動かしはじめた




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