05 ヴィルはリンクの家に頻繁に立ち寄ることがある。それは別に何か理由があっての行動ではないが、自然と、気づけば足が向いているのだ。あそこは楽しい。リンクがたまに面白い雑貨や可愛らしいクッションをおいていたり、リンクとご飯を食べたり、プロクシィとふさけあったり、安心できる場所でもあった “楽しい”ということを覚えているからこそ、自然とリンクのもとへいってしまうのだろう というか、一人暮らしである自分の家に戻ったところで誰もいないのだし、それなら迷惑じゃないと言ってくれているリンクの言葉に甘えてリンクの家に行くほうが断然よかった。一つ屋根の下に男女が共にいるだなんてどうのこうの、ゼルダ姫や親にもよく言われるが、それは確かにそうかもしれないけれど、リンクだからこそ大丈夫だと思う。根も葉もない確信だろといわれてしまえばそれまでだけれども。ううん。 しかしこんな私に逆にムラムラすることのほうがないと思うので、やはり大丈夫だと思い込むのだ しかし私が遠征にいっている間に何かあったのか、リンクの家には女が一人いた。どうやら一緒に住んでいる同居人のようで、ハッとしてリンクについにお嫁さんが・・・・!?とも思った おもっただけ。すぐにそうじゃないんじゃないかなぁって感じたんだけどさ だってリンク、あからさまに女の人に構う様子もないし、喋りかけることもなければ特別スキンシップをとることだってない。確かに笑顔はちゃんと向けるし女の話も聞くけれど、違うのだ。やはりリンクと女の間には夫婦特有の雰囲気など微塵もなかった それにどこかホッとしている自分がいる。私もそろそろリンクにアタックでもするべきかなぁでも私もうおばちゃんだしどうすっかなーと考えているところで、リンクの家の前まで来てしまっていた いや、おばちゃんとはいっても歳は17だけどね 一人で突っ込みながらリンクの家にお邪魔しようとしていると、同居人らしき女がこちらへとパタパタ足を慣らして走ってきた 「あ!リンクの・・・・・」 「こんにちわ。ちょっとお邪魔してもいいですか?」 「でも今リンクは留守でして・・・・」 「いえ、いいんです。プロクシィいます?」 「プロクシィならリンクの部屋で休んでいる頃だと思いますよ」 そうか。リンクは今いないのか・・・・・王女にでも呼ばれてるんだろうか? とにかくおじゃましまーすと慣れたように家にあがりこむ。勝手知ったる他人の家とはまさにこのことだ。が、ヴィルは気にしない。リンクには合鍵ももたされているし自由に出入りしていいといわれていたからだった 最初こそ抵抗はあったものの、何度か来るうちになれてしまったのだ リンクの部屋に足を踏み入れようと扉をあければ、急に突然、何かが顔に軽くぶつかる 「ぎゃあ!」 「ヴィル!やっぱりヴィルだった!」 「よくわかったねプロクシィ・・・・びっくりしたじゃん。心臓飛び出るかと思ったわ」 「ふふ、ヴィルの声が外から聞こえたのヨ」 そういって光を撒き散らしながら体を揺らす妖精に、ヴィルもつられて笑った。 「あのパツキンはどこいったの?」 「金髪でショ・・・・リンクならちょっとリリオって人に用があるんだって、随分前に出て行ったヨ。もうすぐで帰ってくるから、それまでプロクシィとお話しましょう?」 私の言葉に呆れたように返したプロクシィはそれでも暇だったのか、私に話をせがんだ。今日は何かあったかなぁと思いながらもプロクシィに何か話せはしないかと唸る。そういえば今日はインパさんが階段の中間あたりで躓いて、転ぶ直前に見事な宙返りをみせてくれた。よしこれを話そう。あれは素晴らしいぐらいの回避だった つーかよく宙返りできたな。最初っから階段なんてジャンプして下りればいいじゃない?とも思ったが、普通に考えたら行儀が悪いし城ですることではないので、すぐにその思考は消え去った |