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09



「そういえば今日、ヴィルさんを見かけましたよ」

「本当?」

「はい。なにやらリリオさんと仲よさげに歩いていて・・・・楽しそうでした」


この話を使わない手はないと女は思った

リンクはきっと女に気があるんだ。だから私を見てくれないんだ。だったら、あんな女、諦めさせればいいのよ!

リリオさんとは話ばかりでついこの間見たのが初めてだったが、ヴィルがリリオ、と名前を呼んでいたのですぐにわかった。なので、この話をつかって、どうにかリリオとヴィルが付き合っているのだと嘘話をつくりあげることは出来ないかと、考えたのだ

軽い考えではあるが噂というものは怖い。ヴィルのことが好きなのならばリンクだって他の男には敏感になっているはずだ(多分)

特に身近な、リリオのことは。

女は笑顔で、何にも知りませんと言った風にリンクに言った


「今日のお昼ご飯は何にするか、決めていましたよ。腕も組んで幸せそうでした。お二人は付き合われているんですか?」

「・・・・・・・・さぁ?どうだろうな」


明らかにリンクの調子が変わる。リンクの諦めが悪いだとか諦めが早いだとか、そういったことは女は考えていなかった。ただ、好きな女に相手がいるとわかれば大抵は諦めるだろうと考えていたのだ

リンクは磨いていた剣を見つめる。剣を見つめて、それからヴィルを頭に思い浮かべた





「いやいや無理でしょ。無理があるわよ。あんな女の世界なんて知ったこっちゃないわ」

「だよなぁ」

「でもなんで?あいつの世界に女戻すだけじゃないの」

「そうだが」

「だったらラナだって別の世界から来た人間を元の世界に戻すことが出来たんだから、大丈夫でしょう?」

「あれは・・・・・なんていうか・・・・ラナの片割れが呼び起こしたやつらだからラナが戻せただけで、全くラナとは関係のないやつが引き出した人間なら元の世界には戻せてねぇよ。片割れの犯した行動はもう一方の片割れが処理する。別におかしなことじゃないだろ?元は一人の魔女だったんだ。でも俺たちはそうじゃないからな」

「そうか・・・・」


面倒なことになってるなぁと二人いてため息を吐く。何か特定できるものはないかと探ろうにもいまいち思い浮かばない

うんうん唸っていると、ふと思い出したかのようにリリオが呟いた


「そいつ、ってわかるものがあればいい」

「?」

「誰とも被らないような、あの女ってわかるような。・・・・・・そう、そうだな・・・・例えば、」


血、とか


「それに反応して、世界の異空間は開けるかもしれない」


時空魔法と探索魔法があれば、あっと言う間かも

リリオのその言葉にヴィルは走り出した。リリオナイス!ナイスガイ!イケメン!!

そう煽てたら嫌な顔をされたので、黙ってリンクの家に向かった