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「ななし、結婚しましょう」


花束をこちらへ寄越す姫様。リンゴーン、と。どこからか鐘の音が聞こえて、地道に自分の表情筋が死んでいくのがわかった。

俺本当に前世あたりで何かやらかしたんじゃないのか。そのツケが今回ってきてるんじゃないかなとか最近考えてしまってしょうがないわ。姫様の幸せそうな顔をまさかこんな状況で見ることになろうとは・・・・・・

世の中何が起こるかわからんな・・・・


「今日はバレンタインデーです」

「はい。存じております」

「世の男性が女性に好意を伝える日ですよ。かの極東にある国では女性が男性に好意と共に菓子を渡す日となっておるようです。ですので、私もそれに参加してみようかと思いまして」

「勘弁してください」

「プロポーズを一足先に済ませておこうかと」

「勘弁してください!!」


大体一足先にってなんだまるで通過儀礼のように言うな。確かにもうこんな流れだったら俺一生姫様から離れられないけど!プロポーズなんてしてもしなくても一緒だとは思うけどさ!しかも普通逆じゃね。男の俺がするべきだよな姫様になんて絶対にしないケド。

死んだ魚のような目で姫様を見るが、姫様は何かしら妄想に花を咲かせているようで一人にやけている。不安しかないしむしろ恐怖さえ覚える。


「そういえば、ななしの好きな女性のタイプはどんな方ですか?」

「料理が上手くてとりあえず顔は普通でいいから優しい人ですかね。間違っても恋人を閉じ込めるような女性は嫌です」

「残念でしたね、その理想の女性とは今後一切結ばれることはありませんわななし。一生と言わず一切ですよ。来世もそのまた次も私は逃がしません」

「あれ遠回しに嫌いだって言ったのに効かなかった?」


おかしいなあ普通だったらちょっとくらいダメージ行くはずなんだけど。むしろ俺に倍になって恐怖が返ってきたんですけどこれはどういうことだ。その前に姫様と俺は恋人ですらないよな?まず今の関係性からどうにかするべきだよ。

もうさ、いろいろとありすぎて俺と姫様の関係がいかに曖昧なのか見直すことも出来なかったわ。でもプロポーズされてるってことはあっちには(もう確信できるレベルの)好意が大分前からあるわけだし、恋人っていうかむしろ段階を飛び越えそうではあるな。


「いいですか?私以外の女性と誓い合おうものなら、その唇を口づけがまともに出来ないよう縫い付けて、左手の薬指も切り落としますよ。足ももういっそのこと使えない飾りにしてしまいましょう?」


俺何かしたかな、いっそのこと嫌われてるんじゃないかって思い始めた。





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