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本当は、こんなイベントごとがある日くらいは一緒に居たかったのだ。

ご飯も二人で食べて、のんびり話をしながらお昼になれば一緒にお昼寝をして。そんな一日を過ごしたいと思うのは我儘以外の何物でもなかった。彼は勇者として旅をしているわけで、それを中断することなどまずできない。リンクに助けを求めている人達だって少なからずはいるのだろう。間違いなく世界は彼を必要としているのだが。

だから、私一人のために彼がここにいることは出来ない。

それでも寂しいものは寂しかった。何せ彼が旅に出るまではずっと同じ村で毎日顔を合わせていたのだから、当然だ。


夜の11時くらいだろうか。たまたまトアル村に帰ってきたのだろうリンクの足音が聞こえた。無断で私の家に出入りするのも、もうずっと変わらない。寝たふりをして扉のほうへ背を向けていれば、リンクは何をするでもなく私の傍へと腰をおろした。

そして呟くのだ。


「ごめんな」


前回私がさみしいと言ってしまったことを、まだ気にしてくれているのだろう。まったくこれだから優男はモテてしまうのだ。

苦笑しそうになって慌てて顔を引き締める。寝たふり寝たふり。リンクが頭を撫でるものだから頬が緩みそうになって辛い。いい加減やめろ離れがたくなるだろ。


「頑張って終わらせるから、」


早くハイラルを平和にして戻ってくるからな。

そう言ってくれる彼は、どれだけの愛情を私に注ぐつもりなのかな。本当に私のことを考えてそう動いてくれるのは大いに嬉しいのだけれども、それで無理をしてしまうのはちょっと・・・・

ぱっちりと目を開けて勢いよく起き上がった。やっぱり言いたい事があるわ!


「おはよう!!」

「ッう、わ・・・・・!」

「ねぇリンク!」


本当はね。リンクが来てくれるんじゃないかと思って、今日はちゃんとチョコレートを用意してたんだよ。渡せてよかった。

驚いた様子でぱちぱちと目を瞬かせているリンクに、笑顔でベッドの端に置いていたチョコレートを渡す。綺麗にラッピングまでしたのだから余計に渡せてよかったと思う。


「ねぇ」

「あ、な、なに?」

「早く戻ってきてほしいけど、無理そうなら早くなくてもいいよ。ちゃんと戻ってきてさえくれればいいの」


寂しいのなんて我慢できるよ。いつか帰ってきてくれるのならさ。


「大けがしないでね。私、そっちのほうが心配よ?だってすぐに無茶するんだもの、もしかしたら何かしらの拍子に記憶喪失になっちゃうかも・・・・イリアだって、もとには戻っていないんでしょう」

「大丈夫だって!これでも慎重になってるつもり。俺はイリア達と一緒に、この村に帰ってこなくちゃいけないからな」

「そうよ。絶対だからね?お願いだから、」

「死んだりしないって誓おうか?」

「誓っても死ぬときは死ぬのよ、人間」

「出来ないことは誓ったりしないさ」

「・・・・・・うん」

「大体、待っててくれてるのに戻って来ないわけにはいかないだろ?チョコだって期待してたんだからな」

「私もリンクが来てくれること、期待してたんだよ」


こんな調子で、もう少し君を待ってるよ。





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