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イリアという少女になって少し経つと、体も自由に動かせて慣れてきた。違和感なんか全然感じなくなってきたのだ。

これはいいのか悪いのか・・・・

とりあえずもとに戻る方法をいくつか考えたのだが、そもそも結果的に自分を痛めつける方向にしか思考が向かなかったので、実は俺Mなんじゃないかと不安になってくる。階段から落ちるとか。頭に強い衝撃を与えてみるとか。いっそ死んだらいいんじゃねぇかと思ったけど、まあマジもんの自殺願望者ではないからさすがに無理であるし、イリアの肉体を殺したい訳ではないので却下した。

一番簡単なのは頭に衝撃を送ってみることなので、試しに壁にめっちゃ強く頭を打ち付けてみた。

そしたらそれを見ていたタロが「イ、イリア姉ちゃん、だいじょうぶ・・・・?」とマジのトーンで心配してきたので、泣きそうになった。絶対に痛みだけのせいじゃないと思う。

試せるものは試したし、元の世界に戻れないことも証明されたところでとにかく魔物を退治することに専念した。

教会の奥のほうにあった倉庫みたいな場所から弓と矢を引っ張りだしてきて、夜になると飛び回るコウモリのような魔物を撃ち落としたり、比較的魔物の中でも弱いのであろうやつらも、村の中に入って来ようものなら矢でめった刺しにした。

不思議とあまり恐怖は感じず、これもイリアの体の中に入っているからだろうかと考えた。魔物という存在がどういうものなのか、記憶はなくともこんな世界で生まれているのだ。体が覚えているのだろう。

しかもラッキーなことに魔物はたまにルピーというものを落として消える。この世界での所謂金である。

まあ集めたところで今のところ用途はないのだけれども、あって損はしないだろう。最悪最後まで使わなかったとして、この同じ村出身のガキ達に配って回ればいい。そしてそんな最後が来るのならガノンドロフが死ぬのと同時に俺も元の体に戻りたいな。


「暇だ、あそべ!」

「俺は今忙しいんだよ」

「本よんでるだけじゃん!ヒマなんだろ!?」

「なんで俺が今やっていることは理解してるのに、そこでヒマしてるって思うんだお前は・・・・」


本読んでるんだからお前とは遊べないんだよ。どうして中途半端にしか理解できないんだこいつ。

まあ子供なのでそこらへんはどうとも言わないし、大して苛々するわけでもなんでもないので放っておく。うるさいのも無視が一番効くのだ。本当のイリアだったら相手してくれたんだろうが、俺はイリアではない。

未だにベッドの上にて飛び跳ねながら、ギャーギャー騒ぐ子供を部屋からつまみ出し、さーて昼寝でもすっかなと横になる。我ながらだらしないがしょうがない。夜になれば魔物狩りであるから、今の内に少しでも睡眠はとっておきたいのだ。

大体なんだここらへんの魔物。無限沸きなの?倒しても次の日には元の数に戻ってるんだけどあのコウモリ(もどき)


「(そういえばゾーラのやつ、どこ行ったんだろ?)」


あいつの名前なんだっけ。ラスク?美味そうじゃねぇか。確かそんな名前だった気がするわ。あとで確認しとこ。


(イリア姉ちゃん、なんかかっこよくなったよなー)
(・・・・・確かに)
(気のせいでしょ、おうぼーなだけヨ!)