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- ナノ -
0712 22:20

うつ病を克服したんだと、周りは思っている。

それは確かにそうだ。自傷癖がなくなった。自分の感情のコントロールができるようになった。夜ふかししても特に落ち込むことはなくなったし、外へも気兼ねなく出られるようになった。知らない人と話すことができるようになって、自分を特に卑屈に見ることもしなくなった。前までは鏡も苦手で、自分の顔や体を見るのが死ぬほど嫌だったけど、今では特に気にならない。

たぶん、そういう精神的病は治ったのだろう

でもたまに、無性に命を手放したくなる時があるというか。


「なぁ!次の島に着いたらよ、オレと一緒に出かけような!〇〇!!」

「うん、いいよ。どこに行こうか?」

「どっか行きたいとこねぇのか?次の島にはいろんな店が揃ってるらしいぞ?ナミが言ってた!」


本当は、そんな私にルフィは気づいているのだろう


「迷うな...ケーキ屋さんとかあるかな?」

「きっとあるぞ!!んじゃ次の島でケーキ食いに行こうな、」


約束だ!

そう言って彼は、何度も私と約束する。何度も何度も約束をさせて、ここからいなくならないように私を生かそうとする。直接的に私が言ったわけでもない。しにたい、なんて、口が避けてもこの人には言えないだろう。

私は、彼の太陽のような笑顔が私に向けられているうちに、いつか終わりを迎えられたらと思っている

だからいつかは、ルフィと約束をして、それを裏切る日が来ると思っている。約束をして、それを果たすことなく私は消えたい。貴方が生きているうちに、その眩いばかりの笑顔を胸に抱えたまま、貴方の死に姿も苦しむ姿も見ることなく一生を終えたい。

幸せなときに、命の終止符をうって、幸せなまま目を覚まさないように。