0521 2252
「あんた、好きな人いるでしょ」
淡々と彼女はそう言った。
私に好きな人なんていないのに、変にその言葉は確信めいていて困惑してしまう。私がいつ、誰を好きになったというのだろう?心外だ。
そうは思うけれど、何故だろうか。今の桐絵ちゃんの前で、下手なことを言ってしまうのは許されない気がした。なにか手遅れになってしまうような、
「ずっと私を追いかけてたじゃない!なんで今更やめるわけ!?今までみたいに私をずっと見てればよかったのよ!!」
「っな、なんのこと、」
「絶対にあいつのところへは行かせない...!あんたが悪いのよ、余所見するから!!絶対逃さないわよ!!」
そういって彼女は、トリオン体の私の両足を一刀両断した。
「捕まえなきゃ...動かないようにしなきゃ...!」
どこにも行ってしまわないように、動けないように、見張らないと