大雨が降った。黒い空から大粒の雨が、次から次へと落ちてくる。雨は一粒一粒が重さを持っている。地面にぶつかると、円の形を崩して四方八方へ広がった。広がった雨粒だったものは、何者にもならなくなって、土の隙間から中へしみこんでいく。
弾かれて壊れる雨粒を見ているうちに、これがもし命だったなら、おびただしい数になると思った。
もうこれ以上受け止めきれない。オレは、すでに動けないほど重く湿っているのだから。


里内は穏やかではない話題ばかりだ。今日は誰が死んだ、どこの班から連絡がない、次の策を立てた方がいいと口々にする忍者たち。上層部の考えに賛同するもの、異議を唱えるもの、仲間を集ってどこへ向かうんだろう。

待機所はいつも居心地が悪かった。大人はどうしてこんなに口がよく回るのだろう。少しは黙っていられないものなのだろうか。みな、任務続きで疲れているのだから静かに大人しくしていればいいのに。話を振られるのも億劫で、曖昧に頷いてやり過ごしていた。もう誰の言葉も耳に入れたくなかった。本当はこの場で身を縮めて丸くなっていたいけれど、虚勢を張っていなければ今にも崩れてしまいそうで、そんな姿を晒すのは死ぬよりもいやだという意地が、オレの顔に鉄の面をつけさせる。
ガキのくせに飄々としやがって、という言葉ももちろん耳に届いているけれど、すべての事に感情を乗せていくことなんてオレにはできない。受け入れられないことが多すぎて、もういっぱいいっぱいなんだ。

心がどす黒く染まっていく。心ってこんなに重いのか。吐き気がするほど質量を持って、時折ひどく苦しんだ。
今はもう、何も考えられない。






20180122




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