『名前の意味の奥の』

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「…バダップ…」

一度交わした性行為は、自然と二度目の行為を呼び―


「バダップ……バダップ…」

時を置くほど求める想いが強くなり、それが行為にも表れる。


「バダップ…」「…ぅん…」
「…バダップ…」「んっ…?」
「……バダップ…」「どうした…?」

「…………………」「…名を呼ばれるだけではわからない…」

「え…、あ…?!」「キミが望む形があるなら説明してほしい」
「ちがッ…ぅ、いや…聞き流してくれて良かったんだけどな…」

身体を触れ合わせたまま中断される行為。

「用もないのに名を呼ぶ事があるのだろうか」
「…そこには意味の無い意味があってだな…、気にしなくていいんだが…」
 …そう言われても気になるよな…」

大きな瞳をまっすぐに向けてコクリとうなずくバダップ。
身体だけでなく、サンダユウの想いを理解したいという気持ちからきている。

「それしか見えなくなってると、頭も身体も発する声もそれ一色に染まるっていうのかな…
 相手に聞いて欲しくて言うわけではない、
 ふと自然に出てくる“暑い”や“腹減った”…に近いのかなぁ…
 まぁ…要するに…… 理屈抜きでバダップが欲しいわけ……」

「サンダユウはオレの声を聞きたいか?」
「そりゃ、まぁ、名前を呼ばれたらたまんなく愛しくなるだろうし…
 身体が“良い”と感じた時に、堪えずに声を聞かせてくれたら最高に燃え上がるけどさ…
 無理にしてもらうもんじゃないし」
「…自然にできるかな」

納得したバダップはサンダユウの照れて赤らむ頬に口付けをして行為を再開した。
名を呼ばれる事に自分が求められている事を感じ取る。
素直に愛情を受け、身を委ねたこの日のバダップはいつもより早く果てた。



時を置いて再び互いが求め合う日がくる。
少しずつ行為にも慣れ、互いが満足しあう中で挿入の時を迎える。
愛される事を知ったバダップは愛する事を知ろうとする。そうしたいからだ。

「さ…さんだゆぅ…」
身体の感覚が良いと感じた時にサンダユウを真似て名前を口にするように意識した。

「!!な、なに、痛かった?!」
言葉がぎこちなかったのだろう。サンダユウはSOSの声だと勘違いした。

「……そうじゃない…」
「…そっか… そっか…、バダップ、かわいい…」
理解して嬉しくなったサンダユウは行為に勢いが増す。

「さんだゅ、さんだゆうッ」
呼吸混じりに声が自然に漏れてくると不思議と身体もサンダユウを受け入れる。

「サっ…ん…」「や…、ぁ…」
変になる感覚を恐れ、やめてほしいわけではないのに否定の声が漏れてしまう。
たびたび訪れるどうにかなりそうな刺激に、中のサンダユウをキツく絞めると大きな存在が引き抜かれ奪われた。

「いや…」
「バダップ無理しなくていいから」
「…いや …そうではないのだ…」

真剣な眼差しで身を案じるサンダユウに対し、感じた心中を吐露する。
「嫌というのは理性を持った自分への抵抗かもしれない…
 もう一方では…も、もっ… more…の意もあって…」

「うん、俺は理性の鎧を脱ぎ捨てたバダップも見たい」
逸らされた大きな瞳を自分の方に向け、口内を深く絡めあうと熱い行為に入る。

「サんだゆう…」「ん…バダップ」「うん…さんだゆう…」「バダップ…」

「バダップ、バダップ」「さンだゆう、さんだゆう…」

思考も身体も…頭から爪先まで支配された時に漏れる声。
揺らされる身体のリズムに促される声。
言葉にならないたくさんの感情が詰まったいっぱいいっぱいの声。
名前を呼ぶ事の意味のない意味をバダップはサンダユウに抱かれながら理解する。



-----あとがき-----

文字界の恥ずかしさNo.1な気がするモノ、それは「喘ぎ声」!!
攻の手によって喘ぐ受ってカワイイじゃん!
受の中でトロける攻の雄喘ぎも最高じゃん?
おせっくす描写の楽しい所「声」を書かせていただきました。

今まで視点がサンダユウかバダップだったりしたけど
第三者視点はやりやすそうでやりにくく…毎度おなじみ稚拙なポエムです。

[2014/8/12]

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