「死ぬときに自分は何考えてると思う?」
そうやってまたこいつは妙な問いを投げかけてくる。
変に好奇心旺盛な奴は何にでも疑問を持ち、その都度身近な人間ーー俺と一緒にいることが多いので俺であることがほとんどなのだがーーにどうなのか訊きまわっていた。
たいした返事もしないのに性懲りも無く不毛なやり取りをしようとするこいつ。
俺はいつものように大げさにため息をついて唸った。
「くだらないことじゃねーか? もう具体的に言葉にできないくらい、一秒後には忘れちまうくらいくだらないこと。まあつまり、ぶっちゃけ考えてなんか無いと思うんだよ。なにも」
「確かにそうだ。まあ「ああ自分は今から死ぬんだ」って覚悟して死ねる人の方が少ないだろうし。でも俺が聞きたいのは仮定の話だよ。生と死の間の刹那で、君は何を考えてるかってこと」
「ポエマーめ」
それなりの回答をしたと思ったら追求してきやがった。
刹那だのと恥ずかしいことを口にしたので舌打ちも隠さず悪態を吐くと、奴は楽しそうに笑う。
あーあ、こうなったら仕方ない。
「今死んだら、お前のことを考えてるってことになるだろうよ」
彼が満足しそうな答えを言うと、「悪くない」と締めの言葉が返ってきた。
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