リボーンの修行は厳しすぎて毎日が辛い。それだけならまだしも、問題は他にもある。例えばそれは、今目の前に置いてあるドリンクを作った人物。
「……」
「飲まないと冷めるわよ」
「飲めるかよ! これ淹れたの毒蠍だろ! こんなの飲んだら死んじまう!」
「死ねば良いじゃない。そうすればリボーンは貴方から解放されるもの」
そう、毒蠍のビアンキだ。俺より年下のこの女の子はリボーンが好きらしく、奴を取り戻そうとあの手この手で俺に毒物を仕込んでくる。正直、何度も死にかけた。
俺は別にマフィアになりたい訳じゃなし、直ぐにでもリボーンから解放されたいくらいだから、俺達は手を結んでも良いくらいだというのにこんな仕打ち酷すぎる。
もっと厳しく怒ったり、ロマーリオ達に頼んで護衛を強化してもらおうかとも思ったけど、俺にはそう出来ない理由が一つあった。
「……あれ、毒蠍。そんな髪飾りつけてたっけ」
「あら、よく気付いたわね」
いつもはつけていない髪飾りを指摘すれば途端に彼女は表情を綻ばせ柔らかく笑う。普段は怖くて仕方ない毒蠍だが、こういう時の彼女はとても素敵だ。
「リボーンがね、プレゼントしてくれたの」
嬉しそうに目を細める彼女は、いつも俺を殺しに来る暗殺者とはとてもだが思えない。
「すごく似合ってる」
「当然よ。リボーンが見立ててくれたのだもの」
そう言って頬を赤く染める彼女からはいつもの大人びた印象は消えていて、すっかり年相応の女の子の顔になっていた。俺はそんな彼女を見るのが大好きなのだ。
リボーンの為に一生懸命背伸びする君も良いけど、やっぱり子供っぽく笑う君が一番素敵だ。まあ、結局のところ
恋する君は最高に可愛いよ
(2011.05.28)
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