はっきり言って笹川京子は10代目にはふさわしくないと思う。10代目があいつを好きって言うなら、そりゃ応援はするがやっぱり二人は合わないと思う。
俺としては10代目の横にいるのは美しくて聡明でいて芯の強い、マフィアの妻にふさわしい女であって欲しいし、マフィアのボスの妻とは本来そうあるべきものだと思う。
別に笹川は嫌いじゃねえけど、10代目の気持ちに気付かないし何よりうぜぇから駄目だ。
「おはよう獄寺君」
「……うす」
そんな事を考えていたからだろうか。朝っぱらから笹川と遭遇してしまった。挨拶をしてそのまま素通りしようとすれば、笹川は並んで歩き出す。なんだこいつ、うぜぇ。
「今日はツナ君と一緒じゃないんだね」
「俺がどうしようとテメェには関係ねぇだろ」
冷たく返事をしてもにこにこしたまま顔色一つ変えやしない。なんだこいつ、うぜぇ。
笹川はじっと俺の目を見つめて、笑顔で続けた。
「関係なくないよ。だって好きなんだもん」
ぽとり。
口からタバコが落ちる。
「獄寺君、タバコ落ちたよ」
「わ、分かってる! つか、テメェが変な事言うから……!」
「変かなあ」
「変だ!」
ありえない。おかしい。っつーか10代目が好いてくれているってのにこいつ、おかしい。ありえない。
「私ね、楽しそうにわいわいやってるツナ君達が好きなんだ。やっぱり変かなあ」
「は?」
「皆、笑顔で素敵なんだよ」
「……」
「獄寺君もにこにこしてて楽しそうなの」
「……」
「ツナ君と山本君と三人一緒だと」
「は? 山本も?」
「うん」
やっぱこいつうぜぇ
(2011.05.29)
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