返事はどうしようか | ナノ
「好きです」
時間が、止まった。
普通人に好きとかいうにあたってもう少し慌てるというか、恥ずかしがるそぶりくらい見せても罰は当たらないだろう。せめて赤い顔とか。
だのに目の前の後輩は顔色一つ変えず、甘い雰囲気など一切纏わり付かせずに言ったのだ。
そんな告白ではフラれるだろうなと他人事ながら同情……いや、告白された方にも同情するべきだろうか。
しかしこの後輩は誰に告白したのだろう。何だか自分の方を向いているけれど。
振り返る。
誰もいない。
「あれ」
もしかしてこいつは俺の守護霊に愛を告白したとかそんな馬鹿なことはないだろうか。
そんな蒼の脳内を読み取ったのか、「福島蒼さんが」とフルネームでご指名頂いてしまった。
「……マジで?」
「マジです」
「………………」
「何ですか」
「いや、そんな無表情で告白するやついるんだなと」
「女子高生みたいに頬を赤らめて言ってみましょうか」
「ごめん気持ち悪い」
想像してみたら本当に気持ち悪くて吐きそうになった。
「……だいたいお前、俺にどうしてほしいわけ?」
「顔を赤らめて『俺もお前のことが…』と言ってほしいです」
「…………」
「冗談です」
「………………」
顔を赤らめてとかそういうのは気持ち悪いしキャラじゃないから無いけど。
「俺も」っていうのは……どういう風に答えればいいのだろう。
(何とも言いづらい告白をしてくれたものだ)
‐END‐
士郎君が顔色一つ変えずに告白し、やはり(表面上は)淡々と受け止める蒼君を書いてみたかったのです。
それだけです。
白青スキーが増えますように…
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