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 やっと刺激から解放され、放心している間にズボンと下着を取り払われる。
「――やめろっ!」
 気がつけば足をM字に開かされ、そこをじっと焔が覗き込んでいた。
 達したばかりで縮こまったペニスはまだ白濁に濡れている。その奥の、小さな穴に、焔の吐息がかかる。
 抵抗しようにも体に力が入らない。
「ひっ」
 ぬめりを纏った何かが体の中に入り込んでくる。強烈な違和感。

「ゆっくり慣らそう」

 焔がローションで濡らした指を挿入してきているのだと、やっと理解する。
 最初は第一関節まで。中でゆっくりと円を描くと、ゆっくりと抜かれる。抜いた指にまたローションを足すとまたゆっくりと挿入される。
 とにかく恐ろしかった。
 体の内側から濡らされていく感覚も、動きは緩慢ながらその気になれば内臓を食い破れるのではないかという指も。
 指は出し入れする度に少しずつ奥に、少しずつ大きな円を描き始める。

「やだ、やだ、きもちわるい……」
「うん、じゃあ指増やすから」

 甲斐の言葉がまったく届いていない焔は指を二本捩じ込んでくる。

「ひっ……あ、……さけ、るっ」
「あったかい……早く中に入りたいな」

 入りたい? 中にって、もしかして……

「むり、ぜったいむり!!」
「大丈夫。ちゃんと慣らすから」

 ちゃんと慣らしたって無理なものは無理だ!
 指二本がやっとのことで入ったところに、そもそもそういう目的で作られていないところに、そんなものが入るわけがない。
 逃げ出したくても相変わらず両腕は縛られているし、尻の穴という急所には指が二本も突っ込まれているこの状況では暴れることもできない。

「それにすぐ気持ちよくなるからさ」

 そんなわけがないだろ。
 そう思っていたのに、時間をかけてとろとろにされていくのだった。


  ※※※

 いつの間に意識を失っていたのだろう。腕の拘束は解かれていたが、指一本動かす気になれない。
 そうだ、焔に付き合えと言われて、何だかんだあって、最後までしてしまったのだ。してしまったと言うか、犯されてしまったというか。
 焔はずっとしたかったとしきりに言っていたが、ずっとあんなことを考えていたのだろうか。色々とショックだ。

 ぼうっとしていると、ようやく、後ろからすっぽりと抱き締められていることに気づく。だから暖かいのか。

「ひっ」

 腕から抜け出そうと体を動かして、尻にまだ入っていた何かを締め付けてしまう。

「おはよう、甲斐」

 甲斐を抱き締めたまま耳元で囁いたのはもちろん焔であった。お互い服は何一つ身に付けておらず、焔の硬い筋肉が甲斐の背中に触れている。
 それよりも、問題は――

「なんで、入れたままなんだよ」

 甲斐の中にはまだ焔のペニスがしっかりと突き刺さっていたのだった。

 焔は「だって」と悪びれた様子もなく甲斐の腹を撫でる。
「んっ」
「抜いたら溢れるだろ?」
 うつ伏せにされ、そのまま中からペニスを抜かれる。それだけで甘い声をあげそうになるのをこらえる。
 こぽっと音を立てて精液が流れ落ちた。
「ほら、もったいない」
 溢れ出た精液を指先で絡めとり、また中に戻される。
「やだ、もう、やだ」
 慣らすときに知り尽くされた弱いところを、精液を擦り付けるように刺激されてしまう。

「甲斐、可愛い」
「――あっ」

 やっと指から解放されたかと思うと、熱いもので貫かれた。指で慣らし始めたときが嘘のようにするんと奥まで入ってしまう。
「甲斐、俺の形覚えてきた? ……嬉しいな」
「あ、っ……や……んっ」
「ほら、奥まで俺のを飲み込んで離さない。強欲で可愛い」
 体勢のせいか、先程は入らなかった場所までペニスが押し込まれる。
「ひっ…あ、……やっ」
「今日はずっと繋がっていよう」

 甲斐がようやく焔の家から解放されたのはその日の夜のことだった。



  


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