短編 | ナノ 三度目の真実


僕が最初に告白した女の子は赤い顔で付き合うことを承知してくれた。
けれど2週間も経たないうちに「別れましょう」と泣き出しそうな表情で宣告した。


次は告白された。背の高い女の子。最初に告白した子と少し似ていた。だからという訳じゃなくて、好きだと思ったからOKした。
けれど1週間も経たないうちに別れた。それが、ついさっきのこと。




ジンジンと痛む頬はきっと手の形に赤くなっている。

どうして、と思う。

あの子は僕が好きだったんじゃないだろうか。なのにどうして僕が振られたんだろう。女の子の考えることってよくわからない。




「どうした、男前になって」


ああ、タケルさんだ。

タケルさんというのは小さい頃から僕の家の隣に住んでいる3つ上のお兄さんだ。今は大学1年生。



「フラれました」

「お前がフラれるとは世も末だな」

「……そんなことはないと思います」



だって僕はタケルさんに彼女が出来ないことの方がよっぽどおかしいことだと思うから。



「まあ、気にするな。良い子が見付かるさ」

「はあ…」



わしゃわしゃと髪を掻き乱される。
もうそんなに身長差もないんだからやめてほしい。くすぐったい気持ちになる。



でも本当はずっと撫でていて欲しくて……




「……タケルさんが良い」

「ん、何か言ったか?」

「何でもありません。さよなら」



どういう訳か気付いてしまった。

最初に好きになったあの子にも、次に告白してきたあの子にも、俺はタケルさんを重ねていたんだ。





度目の真実
(気付かない方が良かったですか?)




‐END‐



08.03.20

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