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叶わぬ夢に溺れてみたいけど(伝勇伝・シオライ) [ 7/196 ]
「好きだよ、ライナ」
何言ってんのコイツ頭でもぶつけたかまた何か企んでるのかよとでも言いたげな顔でライナが自分を見る。それがおかしくてシオンは笑った。
頭なんてぶつけてないし、ライナに仕事させようという考えがあってのことでもない。
ただ純粋に伝えたい想いを口にしただけ。溢れ出しそうな沢山の想いを、たった一言に乗せて。
けれど、どうしてだろう。それは決してできないことだったような気がする。男同士だとか、そういうことじゃなくて。許されないことだったような気がする。
自分は……で、ライナは……だから
自分は何で、ライナは何だったから?
……思い出せない。
ただライナがいて、ライナに好きだと伝えられるこの世界は、なんて居心地のいい所なのだろう。
彼を……すことに悩む必要がない世界。
許されるならば、ずっと、この夢を見ていたい。
叶わぬ夢に溺れてみたいけど
(さあ、目を覚まして現実と向き合おう)
2009.01.12
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