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運命という名の悪戯(TOI・ハスリカ) [ 4/196 ]
出会わなければよかった。そう思うのはヤツとの出会いが自分の頭痛を九割ほど増加させているに違いないと自覚しているからだ。
ハスタ、とかいうふざけた男。気がつけば腐れ縁のような何かで、ずっと一緒にいたような気がする。
狂った男だった。人を殺し、殺すことに喜びを見出す。そんな狂った男だった。
何故かハスタに気に入られたリカルドは、会うたびに「好き」とか「愛してる」と言われた。その調子はとても軽かったし、普段のヤツの態度もとても軽かった。
だからそれが本音なのか冗談なのかわからなかった。
いや、冗談なのだろうけれど。もしもそれが本音だったら、嬉しいんじゃないかとうっすらと、本当にうっすらと考えた。
ヤツを好きだったのかもしれないと、ふと思う。あんな人でなしを、自分は好きだったのかもしれない。
けれどヤツはもういない。何度殺しても死なないような男だったけれど、死んだ。
……もしも生き返ったら、向けられた好意の数分の一くらい返してやれたのに。
運命という名の悪戯
(そして再び出逢うのも運命)
2009.01.08
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