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十人十色の告白模様(銀土) [ 27/196 ]
ふらりといなくなることの多い男だ。いつも万事屋にいけば会えるなんて保証はない。
そりゃあ、1番いる場所であることは確かだけれど。単純にそれが明日も明後日も続くと信じることができない。いつか、ふとした瞬間に姿を消して、二度と現れないような、そんな気がした。
自分と銀時は恋人だ。
別に公言しているわけではないが、勘の良い人間には気付かれているだろう。
週に何度か会えれば良い方で、身体に触れることができるのはもう少し少ない。触れたくないと言えばきっと嘘だ。
肌を重ねた後のけだるさや、最中の羞恥は好ましくないが、それでも、その行為を永遠にしたくないとは思わない。それが愛というものなのだろうか。
そうして付き合っていても、銀時はふらりとどこかへ消えてしまうような気がした。彼が土方を愛していないと疑うわけではなく、ただ彼はそういう男なのだと土方は思っていた。
万事屋に訪れると銀時の姿がなかった。
「銀さんならパチンコに行くって、出ていきましたよ」
「銀さん?あー、なんか当たりまくっててね。嬉しそうに出ていきましたよ」
「銀さんならさっき私を言葉責めした後にあっちへ行ったわ。……放置プレイかしら」
「銀さんは……」
「銀……」
そう広い街ではないのに、銀時はなかなか見付からなかった。
苛々する一方、土方は思った。
銀時はどこかへ消えてしまったのではないか。土方を置いて、どこか遠くへ。ふらりと。
だってあの男は風のように気まぐれだ。
なんで連れていってくれないのかと女々しいことを考えていると、向こう側から誰かが……銀時が歩いてくる。
「土方!」
嬉しそうに駆け寄ってくるのが、何とも腹立たしい。
とりあえず一発殴ることにした。
「いて〜」
「テメェ、どこほっつき歩いてやがった」
「え?土方に会えないかなってあちこち……そしたら会えたし俺ツイてんな」
……本当にツイてたらもっと早く会えたんだがな。まあ、悔しいのでさんざん探していたことは黙っておくことにした。
それでも、いつか
いつかこの男は消えてしまうだろう。そう遠くない未来に、きっと。
そんな気がした。
「明日も明後日も隣にいやがれ馬鹿野郎」
(え、それプロポーズ?)
(五月蝿い。忘れろ)
‐END‐
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