学園 | ナノ
これが最高のバッドエンド




……好きになればいい。
……『嘘』じゃなくて『本当』になればいい。



酷いことをしている自覚はあった。
最低だと思っていた。
それでも、離れたくなかった。



「俺も……好きだ」







『それは素敵にサイテーだね、ヨッシー』

サイテー、と電話から聞こえてくる言葉に眉をひそめる。

「ヨッシーって言うな」
『いいじゃん恐竜の子みたいで』

俺をそんな緑色で舌の伸びる生き物と一緒にしないでくれ。いや、嫌いじゃないけど。
電話相手である中学時代の友人は昔から変な呼び名をつけるのが好きだった。だから俺はヨッシー。ならば奴をミッフィーと呼んでやろうかと考えた時期もあったが、結局やめてしまった。なんていうか、俺のミッフィーが汚れてしまう気がしたのでやめた。

『で、吉崎君は親友の心をもてあそんだわけか』
「……そういうつもりじゃ」
『でも好きでもないのに付き合ってるんでしょ』
「そうだけど……」
『サイテーだね、吉崎は』

……だって。
だって、親友は言ったのだ。『ごめん』と。『もう二度と近寄らないから』と。
瞬間、悟った。俺がこの告白を少しでも嫌がれば、もしくは『友達としか見れない』と答えたら、親友は俺の前から姿を消すのだと。
それは俺の勘違いなどではなくて、親友はそうすると宣言した。
だから…………俺は親友を失いたくなくて嘘を吐いた。

『それでキスされそうになったけど拒んじゃって顔を合わせづらくなったって相談されても、ねぇ……?』
「……ああ」


本当はどうしたらいいかなんてわかってる。
謝らなくちゃいけない。本当は、友達としか見れないんだって。

『でもね、ヨッシー』
「…………何だよ」
『二度と近寄らないっていうのは結構な脅迫だけど、それで付き合っちゃえるっていうのは……好きってことじゃないかな?』



………………



『で、上手く言ったら萌える報告待ってるから』
「腐男子のお前に相談したのが間違いだった」
『あはは、じゃあねヨッシー』


そう言って、腐男子は電話を切った。

……そうだ、あれは『脅迫』だ。
俺の前から消えてやる、なんて脅迫でしかない。そしてその脅迫に従うくらいに俺は親友が好きなのだろう。



それなら――




「もしもし」

『ああ、どうした?』

「ごめん、俺、お前のこと友達としか思えない」

『…………』


「でも、好きになりたい。だから、惚れさせてみろよ」





これが最高のバッドエンド
(そしてスタート地点)





*おまけ*


「……って萌えるよね!ああもうなんで俺アイツらと同じ高校行かなかったんだろう!!」
「三原、落ち着け」
「落ち着けない。無理。でもわかってる。全寮制男子校に勝る萌え無し!!さあ、まっつん、早く俺に総受けを見せてくれ……!」
「ごめん無理だからとりあえず落ち着け」



―END―



腐男子君が書きたくて書きました。攻めの名前が出てきません。ごめん、攻め。

おまけのまっつんと三原(腐男子)君は今後頑張れたらUPできるであろう連載?シリーズ?な何かの主人公とかだったりします。書けたらいいな…!



お題:確かに恋だった









fin.





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