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伝勇伝パロ
2020/05/21 04:21





***CMというか注意というか***

近頃だとあの『終わりのセラフ』原作者で有名な「鏡貴也」先生の『伝説の勇者の伝説』(富士見ファンタジア文庫)のパロです!

伝!勇!伝!名前だけでも覚えて帰ってください。鏡貴也をよろしくお願いします!
伝勇伝です。みんな覚えましたか?
まずは一冊。読んでみてください。これも何かの縁です。



で、この後の文章はなんていうかわりとどうでもいいので読まなくておっけーです(!)


書きたいところしか書いてないし、伝クラスタには見せられない(><)




***



「人が死ぬのが嫌?」
「ああ」
「傷つけるのが嫌?」
「そうだ」
「お前、本当に甘ちゃんだな」
「何を言ってるんだ兄さん。俺の名前はカラ松だ」
「いや、そういうことじゃなくて――ああもう、わかったよ!」
「うん?」
「俺と行こう、カラ松」
「へ」
「俺がこの腐った国を変えてやるよ。本当はすげーめんどくさいけど、変えてやる。昼寝だけしてればいいような国、作ってやるよ」

だから、と手を伸ばす。

「俺と行こう、カラ松」


ある夕日の綺麗な日のことだった。


◆ ◆ ◆



松野おそ松。国民は彼を英雄王と呼ぶ。
それまでこの国は王の政治に苦しんでいた。戦争を繰り返し、民を苦しめる愚かな国王。
その王がまた隣国との戦争を始めようとした。
その戦争を、彼はたった1人で終わらせた。
苦しみから解放された国民たちは彼を英雄と崇めた。
そして彼は妾の子でしかなかったのにも関わらず、国王へ成った。

そんな兄を次男のカラ松は誇らしく思っていた。
自分はこうして寝てばかりいるけれど、その間にも兄さんはあの約束を果たしてくれている。国民のためにと一生懸命頑張っている。自慢の兄貴だった。

だが、それとこれとでは話が違う。

「――勇者の遺物を持ち帰れ?」

さきほど言われたことをそのまま口にすると「そうそう」と国王は頷いた。

「カラ松が調べてた勇者の遺物。過去何度も現れた悪魔だか魔王だかを、倒すのに使ったというアイテム。それがあればきっと、戦争が始まる前に終結させる事さえ可能と思われる」

「……それは俺の趣味みたいな調べ物なんだが」

「うん、で、読ませてもらったんだけどさ」

「勝手にか」

「うん」

悪びれた様子もなく頷く長兄には呆れてため息も出ない。

「で、隣国に行って調べてきてほしーんだよね。あったらお持ち帰りで。一松と一緒に」

「あ゛? なんで僕まで。しかもこいつなんかと」
「返事はノーだぜブラザー。俺は働きたくない」

カラ松を王室まで連れてきたまま黙り込んでいた四男は、話が振られ、初めて口を開く。
弟との二人旅は楽しそうではあるが、ここはやはり働きたくないという思いの方が強い。いままで三食昼寝付きでのんきに生きてきたのにその生活を手放すことなんてできない。
一松もニートかつ猫カフェ通いの毎日を満喫していたようで、首を縦に振ろうとはしない。

とっとと逃げようと魔法を発動させようとした時、おそ松が爆弾を放った。


「お前達が行かないとキャットカフェ・ウィニットがつぶれます」

「おい行くぞクソ松」
「えっ」

それまで眠そうだった一松の目が見開かれたかと思うと、カラ松の手を引いて走り出す。




「さて、」


残された王様は、誰もいない空間に向かって話しかける。

「あいつらは、うまくやってくれるかね」

すると何もないはずの空間から声が返ってくる。

――まあ、うまくやるだろうさ。しかしお前も人が悪いね、あいつに追わせるんだろう?

「そうかな。あいつらならうちの国の追手に捕まったりしないさ。表向きは脱国者にしておかないと国交問題になるし。それに、」


王様はおよそ『王様』がするようなものではない笑みを浮かべ、


「あいつに追わせた方が面白そうだし?」


――やはり、趣味が悪いな






「なあ、一松」
「チッ……なんだよクソ松」
「(舌打ちしなくても)……俺たちなんで追われてるわけ?」
「どうせあのクソ兄貴の仕業だろ」

国境付近までたどり着いたところで、自国の兵士達が2人に攻撃を始めた。
この国には――いや、他所の国もそうだが、魔法がある。魔法は国によって違う、いわばその国の技術のようなものだ。故に、許可なく他国へ行くことはできない。
だが、自分たちは王の命令で出国するのだからそこに許可なんて……

と、カラ松のポケットに手紙が入っていることに気づく。

「『 考えてみて欲しい。いくら休戦中とはいえ隣国とはついこの間まで戦争していた仲だ。となれば我が国の人間が堂々と探し物をするわけにはいかない。だから――』」


「脱国者を逃がすな!!」

「なるほどな……」
「あいつ今度ぶっ殺す」


『お前達には脱国者として隣国へ行ってもらう。また、探し物は誰の命令でもないので肝に銘じておくこと』


「くそったれがぁああああああ」




◇◇◇



「カラ松、僕が養うって言ったのになんで駆け落ちなんて……ゆるせない!」
「チョロ松? なんで追っ手になんて……魔法ぶつけてくるなよ!」
「クソ松、修羅場に俺を巻き込むな」





なんてやりとりもあり



◇◇◇


※ここからシリアス


「『複写眼』の眼は高く売れるんだよね」

にこにこと笑うその男が何を言っているのか、一松にはわからなかった。
こののほほんとしたカラ松がそんなものを持ち合わせているとは到底思えなかったからだ。バカで、お人好しで、それから臆病者。誰かに愛されたいくせにそれを言えない寂しがり屋。
旅を続けてわかったことはそんなことで。たしかに魔法は人並み以上に使えるけど、そんな特別な人間ではないはずで。


なのに、
それなのに、その男のせいで一松が知っていた『カラ松』は、壊れてしまった。




「あああああああはははははははははははははははははははははは」



どこからか、声が、聞こえる。
カラ松が狂ったように笑い続けている。

その瞳の中央には朱の五方星が浮かび上がっている。


空から、声が降り続ける。

『存在を解析・解除。消えろムシケラ』

するとカラ松を壊した男の体がどんどん砂のように――
「た、ただの『複写眼』保持者じゃない!? にげ――う、うわぁあああああああ」

消えた。



周囲に五方星がまき散らされて、それに触れたところから世界が消えていく。
消えていく世界を、一松はただぼんやりと眺めていた。


「なあ」


カラ松だった『それ』に声をかける。

「お前誰なの」

『神。悪魔。邪神。勇者。化物。好きに呼べ。どうせお前は消える』


それから一松の方に手を掲げてくる。
そこから五方星が放たれれば、一松は消えてしまうだろう。

それをただじっと見つめて、


「ただの『複写眼』じゃない、ね。たしかにお前はそん化物じゃなくて、もっとバカでのろまでお人好しなクズ松だ」

「お前の書いたレポート。あれおそ松兄さんに無理矢理読まされたわけ。誰も死なせたくない? みんなで笑って昼寝してたい? 誰も泣かない世界が欲しい? これを書いたのはよっぽどのバカ野郎だって思った」

「なあカラ松。お前は化物なんかじゃない。俺のクソ兄貴で、奴隷で、相棒で、猫カフェ友達だ。化物なんかじゃない」





「だから、お前に俺は殺せないよ」




抱きしめると、カラ松から声が聞こえた。「おれの、めを、とじてくれ」

眼を閉じさせると、そのままカラ松は眠りについた。
たぶん、もう、大丈夫だろう。



「おかえり、カラ松」







*伝勇伝だよ!みんな覚えたかな!*



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