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好きとか嫌いとか(イージス・ヨン竹)
2012/02/24 23:33



※すごく久しぶりに書いたものだからすごくニセモノな二人です

※死後の世界でふたりでうふふしてるのか。それともパラレルワールドなのか。それとも実は本編のどこかのタイミングなのか。お好きなようにお読みください。

※とりあえず二人がニセモノです






人を好きになることはひどく難しい。
嫌いになるのは一瞬だ。憎むことも簡単だ。ほんの少し、あればいい。けれど好きになることは一瞬ではできない。度重なる偶然と、多くの妥協。精神力を随分とすり減らして、好きになったところで。またほんの些細なきっかけで憎むことができる。
どうして人は好きだの嫌いだの、他人に優劣をつけたがるのか。そんなこと考えただけで億劫である。

ヨンファがそんなことをぼやいていると竹中が首を傾げた。

「おれは、嫌いになることの方が難しいと思うがな」


彼曰く、
人を憎むことにはエネルギーがいるのだ。憎み続けるにはそれだけのエネルギーを消費し続けなければならない。それほど大きな憎しみを持ち、そのためにエネルギーを燃やし続けるのは大変なことだ。
憎む、までいかなかったとして。嫌うだけでもやはりそれなりのエネルギーを使う。相手にそれなり理由があるとしたら別だが、個人的な感情のみで誰かを嫌い続けるのは大変なことだ。
……ということらしいのだが。

平和すぎる考え方だ、とヨンファは思う。
この人は、やはりどこか甘い。
竹中はヨンファを嫌っているに違いないのだ。それだけは確かである。個人的な感情のみではなく、やはり、ヨンファにそれなりの理由があるからこそ。竹中はヨンファを嫌い続けることができるのだ。
それでも。こうして嫌っているヨンファと言葉を交わす。
……反吐が出そうだと思っていたとしても。こんな風にどうでもいい言葉に耳を傾けてくれる。
だから、甘いのだ。
嫌いならば突き離せばいい。憎めばいい。殺しにかかったとしても、いいとさえ思う。
それなのに、彼はそうしない。
嫌いでい続けている癖に、きっと彼は心のどこかでヨンファを許す道を探しているのではないか。そんな夢を、少しだけ見てしまう。


人を好きになることは、運がよければできるかもしれない。
それでもそれを持続することはひどく難しい。少なくとも、ヨンファには。
それなのに。嫌いになれない人がいたら。憎むことができない人がいたら。嫌われていたくないと、許してほしいと思う人がいるとしたら。それは好きということなのだろうか。好きでい続けているということなのだろうか。


「――そうですね、わたしもあなたを嫌うことは難しかったようです」


結局のところ、その笑顔を自分に向けて欲しかっただけの話。





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