11時の訪問者(ルークラ)
2011/01/26 00:45
※学パロ
どうしてルークと付き合い始めたのかというと、そもそもアイツが告白してきたわけで。クラウはそれに断ったら泣きそうだと思ってしまって、なんとなく拒絶できなくて、受け入れてしまった。そもそもルークが泣きだすはずもないのに。どういうわけか、その時はそう思ってしまったのだ。
喧嘩ばかりしていたが、憎んでいたわけではない。ただ気に入らなくて突っかかることが多かった。
嫌いじゃない。でも、好きでもなかったはずだ。
だけど、どうしてだろう。少しずつ。本当に少しずつだけれど。
一緒にいる時間が増えて。
好きだと思うようになって。
……くだらないことでイライラするようになった。
いつもと変わりない光景だった。
ルークがミルク・カラードと話をしている。それだけ。
ミルクが笑い、それに、ルークが微笑む。
それを見ただけで胸のあたりに何かが蠢いているような、胸がむかむかするような。そんな気分になった。
それで、なんとなく。いらつくままに、ルークを置いて先に帰った。それだけだった。
***
夕食も済ませ、風呂にも入り。翌日の準備も済ませてしまい、後はベッドに横たわるだけだった。ぼんやりと天井を見つめていると嫌でも放課後のことが思い出される。
腹もふくれ、汗も流し、ぼんやりと横になっているとどうしてイライラしていたのかがわからなくなる。なんとなく理由はわかるのだけれど、理性の方が強くなった今となってはそれが馬鹿らしい理由だったと思えた。
一応、一緒に帰ることになっていたわけだし。ルークはクラウが先に帰ってしまったことを不審に思っているかもしれない。
そうなると明日普通に顔を合わせることができるかも怪しい……。
「こんばんわ」
たとえなこんな風に声をかけられたとしても、目をあわせることもできるかどうか……
いや、待て。
「お前なんでここにいんだよ」
「え?」
不思議そうに首をかしげて見せたのは紛れもないルークで。
しかしルークの家はもちろんここではない。ここはクラウの家だし、クラウの部屋だ。なのに、どうしてここにいる?
「クラウが先に帰ってしまったので」
「そうかよ」
仕方なく、起き上がる。
「いえ、クラウがヤキモチを焼いて先に帰ってしまったので」
「――なっ」
顔が熱くなる。
この男、人間の感情とかそういった類のものには随分と鈍いくせにどうして今回に限って見抜かれたのだろうか。
いや、見抜かれてなどいない。妬いたりなど、そんなことはしていないのだから。
ただなんとなく先に帰りたくなっただけで。深い意味なんてなかったはずなのだ。
そもそも、ルークに告白されて付き合ってはいたものの、自分はルークのことなんて好きではないはずなのに。嫌いでこそないが、愛だの恋だのそういった感情を抱いてなどいないはずなのに。
「クラウが気にすることなんて何もありませんよ」
そう言って、笑う。
子どもにするように髪を撫でられる。
それにイライラするのだけど、どういうわけか、少しだけ安心した。
(一応、コイビトという関係にあるらしいけど)
END
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