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はろうぃんSS(伝勇伝・リル+スイ)
2011/10/31 21:19


※なんやかんやでハッピーエンドになった後のお話

※みずさんへ







「とりっくおあとりーと」

突然兄がわけのわからない言葉を口にした。

「兄さん……?」

おそるおそる兄の方を見ると、なんだかつまらなそうな顔をしていて。とりあえず兄が酔っぱらっておかしなことになったとかそういうことじゃないようでスイはそっとため息を吐いた。
しかし、そうなると彼はどうしたのだろうか。
そういえば兄はレファルの護衛としてローランドに行っていたのだ。それが関係しているのかもしれない。


「……ああ、今日は『はろうぃん』というやつらしくてな」
「ローランドで聞いてきたの?」
「そうだ。よくわからないが一年に一度だけ『とりっくおあとりーと』という呪文を使える日、らしいぞ」

それで帰ってきてさっそくスイに聞いてみようと思ったのだけれど、知らなかったようでがっかりしたようだ。信頼されていたようで嬉しいけど、がっかりさせてしまって申し訳ないような。

「とりっくおあとりーと、ね」

聞いたことがない。
けれど口に出してみると楽しい気分になる。

「とりっくおあとりーと」
「とりっくおあとりーと」
「兄さん、これ結構楽しいね」
「……そうだな」
「とりっくおあとりーと」





ところでガスタークにもちゃんとハロウィンの意味を知っている人間がいた。ローランドに行ってしまったキファと文通している女の子……クゥだった。
だから、クゥは兄二人がにこにこ笑いながら(といってもリルはにこにことは笑っていなかったけれど)それを言い合っているのを見て、どうしたものかと頭を抱えた。仕方がないとお菓子を手に、二人にハロウィンのことを教えてあげることにする。

本当は、クゥが言って二人からお菓子を貰いたいところなんだけど。まあそれは来年でもいいかな。





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