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11年ぶりのプロポーズ(シオライ)
2011/01/26 00:42


 ※学パロ



ふと、ライナはどうして自分はこいつと一緒にいるんだっけと疑問に感じた。
ライナとシオンの関係を表すのに簡単な言葉がある。「幼馴染」だ。それ以上でも以下でもない。友人、腐れ縁、親友。色々な言葉を並べてみるけれど「幼馴染」ならその一言で事足りるような気がする。長々と説明するのも面倒だし、ということもあってか、その「幼馴染」ということは比較的よく使う方だと思う。

いつから一緒にいるかなんて覚えていないほど前から一緒にいるのだけれど。それでも、どうして一緒にいるのかと考えるとわからない。
なんとなく?
なんとなく生きていると、当たり前の顔をしてそいつが隣にいる。だから一緒にいるってことになるのだろうけど。

でも、こいつは嫌にならないのかね。

「嫌になんてなるはずがないだろ」

そう言ってそいつは笑った。
どういうつもりだろう。仕事を手伝わせる気だろうか。


「そうじゃなくてさあ、ほら、普通恋人といるのに飽きたりしないだろ?」

たしかに恋人に飽きるとは失礼だろう。倦怠期という言葉があるから誰にも訪れることなのかもしれないが、まあ、付き合いたての恋人同士には訪れないだろう。
……しかし、どうしてここでそんな言葉を持ち出してきたのだろう。

「いや、だって俺たち付き合ってるだろ」

誰が。
誰と。

「俺とお前が」
「……何処に?」


相手がピシリと固まった。
……どうしたのだろうか。

「…………11年前」
「ん?」
「11年前、俺は、お前に、言ったよな?」
「何を?」
「………………」

ライナにはよくわからなかったが、シオンが真剣な目をしたので口を閉じる。
それから、シオンはゆっくりと口を開いた。

「俺はさ、毎日ライナが俺の横で寝ていればいいって思ってるんだ」
「はあ……今もわりとそうだけど」
「うん。でね、つまり、ライナのことが好きってことなんだけど」
「はあ」
「俺と結婚してくださいって、11年前に言ったんだけど」
「はぁ!?」
「それでライナはいいよーって」
「言ってねえよ!?」
「言った」
「嘘だ〜」
「嘘って……俺が言いたいわ!?」

……全く、覚えていなかった。
というか11年もシオンの中で二人は付き合っている恋人同士だったのだろうか。長すぎるだろう、勘違い。
そもそも恋人らしいことなんてしてこなかったくせに……。


「じゃあ過去は過去として、もう一度告白します」
「……はあ」
「好きです、付き合ってください」

丁寧な言い方をしたくせに、そこに拒否権はなさそうだと思った。

(あ、)

(そういや、前にもこんなこと……)


少年が泣きそうに顔を歪ませてそう言ったから、彼は頷いてやった。その言葉の意味もよく理解しないまま。


でも、今度は違う。
泣きそうな少年なんていなくて、お互いがその言葉の意味を理解している。


「……断ったら、泣くくせに」
「え」
「……なんでもない」


11年ぶりのプロポーズ
(さて、なんて答えてやろうかな)

 END






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