ブログ | ナノ


You may cry. ――B(進撃の巨人・ミカエレ)
2011/06/14 23:19


※パターンB 兵長が生きるミカエレの場合




死ねば良かったのに。つくづくそう思う。

思えばあれはあのチビを亡きものにする絶好のチャンスだった。ヤツも死ぬ気だったようだし、手加減などしなくてもよかったのだ。刺した後に刃を捻ってやっても良かったかもしれない。それなのにリヴァイは生きているし、エレンはそんなリヴァイを甲斐甲斐しく看病してやっている。
エレンが生きていて良かった。それだけで済むはずなのに、リヴァイが生きているから素直に喜べない。
もしも怪我をしているのが自分だったら、エレンはあんなに楽しそうに看病してくれるだろうか。お粥を口移しで食べさせてくれたり額と額を合わせて熱を測ったりしてくれるだろうか。考えただけでも悔しくてたまらない。どうして自分は怪我ひとつしていないのだろう。もしかしたらこれもあの男の作戦なのかもしれない。そう思うとまた悔しくてたまらなくなる。どうして殺さなかったのだろうか。

悔しくて悔しくてたまらなくて、リヴァイを睨めばどこか勝ち誇ったような笑みをわずかに返された。やっぱり殺す。

それでも、エレンが泣いたことを思い出せば、殺せないと思う。悔しいがエレンが戻ってこれたのもこの男のおかげだ。そして、殺していたらエレンに憎まれていたかもしれない。そう思うと、殺すことはできそうにない。
だったら事故に見せかけて……などと考えているとエレンがリヴァイに食事を運んできた。
「本当に、兵長が生きていて良かった」
そうやって何度も嬉しそうに言うから、毒殺がいいだろうかと考えた。





エレンはリヴァイが生きていて良かったと何度も噛み締めるように言う。その度にミカサは悔しくてたまらなくなる。生きていて嬉しいなんて、そんなのミカサがエレンに言いたいことだ。

やはり傷が治り切らないうちに殺してしまうべきだろう。事故に見せかけるにはどうしたらいいかと考えているとエレンが空いた食器を下げるところだった。

「あいつが生きてて、嬉しい?」

聞いてみるとエレンは笑って頷いた。やっぱり早めに殺さないと。
そう思ったけれど、エレンの言葉には続きがあった。




「だって、兵長が死ななかったから、ミカサが殺人犯にならなくて済んだだろ」





prev | next


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -