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You may cry. (リヴァエレ)
2011/06/14 23:17



※別マガ4月号ネタバレかも





殺すか、生かすか。
きっとその少年に対して自分ができることはそのどちらかだろうと。予感はあった。
リヴァイは己の能力をよく知っていた。だからこそ、暴走する少年を少しでも生かそうと、手加減して戦ったところで、返り討ちに遭うのは目に見えていた。
殺すか、生かすかだ。
その中間は有り得ない。

そして、もしも少年が暴走することがあれば、自分が何を選ぶかなんてとっくに決めていた。







エレンは、弱い。
まだ15の少年なのだから。いくら強がったところで中身はまだまだ子供である。
周囲の子供たちに比べれば大人びているように見えなくもないが、それは心に壁を作っているからだ。
脆い壁を崩せば幼い子供が、泣きわめく。
母親を亡くし、気を張って生きてきたのだ。子供のまま、弱い心を隠し、ただ、巨人への憎しみだけを糧に。

そんな子供を戦わせなければならない。頼らなければならない。とことん、この世界は……

らしくもなくそんなことを考える。



「おい、エレン」



返事はない。
いや、唸り声のようなものは返ってくる。しかしそれがリヴァイの呼びかけに対するものとは思えない。
その事実に、舌打ちをする。

「殺すぞ」

そう呟くと、背中に殺気がぶつけられる。リヴァイがエレンを殺せると言ったときと、同じ。
あの少女だろうと確信すれば、こらえきれずに口元が緩む。

殺すのは簡単だ。いつものように肉を削ぎ落とせばいい。
殺すか、生かすか。その中間が難しいのが問題で。

そしてリヴァイはゆっくりとエレンだったものに刃を向ける。

ーーそして、少女の刃に貫かれた

これは『賭』だ。
あの子供が、自ら自我を取り戻すことができるか。
あの子供が、それほどまでにリヴァイの死にショックを受けるかどうか。
『エレンを殺し自分を生かすか』『自分を殺しエレンを生かすか』だ。

巨人の目から涙がこぼれ落ち、それは少年へと変わり、やがて彼は声を出して泣いた。
そのうるささに殴ってやろうかと思ったが、それ以上にその髪を撫でてやりたいと、がらにもなく思った。





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