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いらいらいら(リルライ♀)
2011/06/02 22:18

幼馴染みの少女はよく眠る子だった。
昔からすぐに眠ってしまう彼女をおぶってやるのはレファルの役目だった。リルより年下のくせにレファルはいつも彼女を背負っていた。男ならスイもリーズもいるのに、彼女を背負うのはいつだってレファルだけだった。
幼い頃は気にもとめていなかった。自分は決して面倒見のいい性格をしていないし、やりたいやつにやらせておけばいいという思いもあった。けれどよくよく考えてみればリーズもスイも彼女を運ぼうとしないのは変な気がした。

そうして彼らを見ているとまず、眠る彼女を愛おしそうに見つめるレファルが目に入った。
……なんとなく、わかった。
だからあいつらは彼女を背負わないのだろう。

それに気付いた時はなんだかおかしくなって、少しだけ笑ってしまったのだけれど。
なんというか、今はただ、イライラする。






レファルは彼女のことを好きなくせに無自覚なのか一向にそれらしい行動をしない。
そのくせ無意識のうちに牽制なんてものをしてくるのだから、腹が立つ。だったらさっさと自覚しろと思うのに。
弟も妹もリーズとっくにそのことに気付いているようで、呆れたようにため息を吐く。知らぬは本人たちばかりである。
ストレス発散ついでにレファルを苛めてやろうかと「俺が貰おうか」と彼女に手を伸ばす。眠る彼女の顔をまじまじと見るのは久しぶりだ。いや、もしかしたら初めてかもしれない。いつの間にか伸びていたまつげにドキリとする。よくよく見れば肩に触れるだけで折れてしまいそうな気がした。寝癖まじりの残念な髪に少しだけドキドキしながら触れようとしたら、手を、はたかれた。

「お前は絶対駄目だ」

ハッとした。
悪い夢でも見ていたような気分だ。もしも、髪に触れたとして。肩に触れたとして。だからどうしたというのだろう。彼女は今も昔も変わらず幼馴染みで。かといってそれほど多くの言葉を交わした記憶もない。一緒に遊んだことはあるけれど、弟の友人という認識が大きい。
なのに今、触れたら、何かが変わりそうな気がした。そんな馬鹿なと思うのだけれど。
結局のところ誰であろうと認めるつもりはなくて、レファル以外の人間がライナと付き合うのは許さないつもりなのだろう。無自覚の癖に牽制なんてしながら。
……お前は良くて、俺が駄目というのが、どうにも気に食わないけど。
じゃあ、自分が彼女を手に入れてしまったら、レファルはどういう顔をするのだろう、なんて。






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