恭しく手の甲に口づけを(ティアクラ)
2011/03/24 00:57
「さっさと付き合えばいいのに」
「ホントにね」
へえ、と思った。
「お前そう思ってたんだ」
「何」
声をかけると不満そう。だったらなんで隣にいるんだろうと思う。まあ、ライナにフラれたからだと知ってはいるけれど。
だってライナはシオンが好きだからなあ。シオンもライナを好きすぎる。傍目には丸わかりなのに本人たちだけがいつまで経っても気付かない。もどかしい。むしろ馬鹿らしい。
「お前ライナのこと好きだからさ。むしろ付き合って欲しくないんじゃないのか?」
「……そりゃあ好きだけどね。でもだからこそ幸せになってほしいだろう」
なかなか大人なことを言う。
普段ライナを追いかけまわしているのと同一人物とは思いがたい。
「君こそアイツのこと好きなんじゃないの?」
「……は?」
言葉が出ない。
「何、俺たちフラれた者同士ってことか」
「僕はフラれてないけどね」
「お前はフラれてんだろ。俺はフラれてねーけど」
いちごオレを吸い込む。甘い。甘すぎる。
「まあ、時間の問題だね」
「お前もな」
「で、フラれた者同士で付き合うかい?」
何を言っているのかよくわからず顔を上げると、ティーアの顔が目の前にあった。
「ごちそうさま」
恭しく手の甲に口づけを
(気障すぎるだろう、それは)
クラウがいちごオレを飲んでるのはなんとなく。その方が高校生っぽいなあと思ったからです。なんとなく。
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