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今夜も君は誰にも助けを求めず一人で苦しむのか(フェンリル前提スイリル)
2012/04/14 21:33
※フェンリル前提なのにフェンネンさんログアウト……名前さえ出ませんごめんなさい
※フェンネンさんとは……ガスターククラスタに聞いたらとってもよくわかるよ!ストオルの王様だよ!
それに気づいたのはいつだろう。
なんとなく、兄の強がり癖を知った頃だった気がする。
兄は負けず嫌いで、プライドも無駄に高くて。誰かの前で泣くなんて絶対しなかった。反対にスイはすぐ泣いてしまっていたけど。今思えばスイが泣いてしまうから兄は泣けなくなったのかもしれない。
スイが泣かなくなって。兄は相変わらず泣かなくて。
その頃ようやく気づいたのは、兄の高すぎるプライドと、兄はスイの兄であるということ。
スイの兄なのだから、スイと同じで、泣きたい時だってあったはずなのだ。
それなのに、絶対に泣かない。いつだってニヤリと笑ってみせる。不安がらない。自信満々な表情だけをスイに見せる。
だから、本当にそうなのだと思っていたのだ。
それなのに――
(泣いてる)
隣の部屋は無音で、スイの耳に泣き声が届いた訳ではないけれど。
共鳴するように、兄の悲しみが届く。
(悲しい)
涙が溢れる。
(誰かを、失った悲しみ?)
兄がどうして泣いているのかわからなくて。
ただ、兄の悲しみだけが伝わってくる。
ストオルで何かがあったのだと、なんとなくスイは思っていた。
たとえば、その国名を聞くと、スイの胸が小さく痛むから。
兄が、愛してはいけないものを愛し、それを失ってしまったのだと思う。
だったらそれをスイに言ってくれたらいいのに。
抱え込んで、黙って一人で泣いて。
表面上はいつも通りに。本当は何かを失う不安で泣きたくてたまらないはずなのに。
「リル」
名前を呼んで、それが届けばいい。一人じゃないよ。僕がいるよ。そう、届けばいい。
――だから、どうか一人で泣かないで
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